さつまいもを育てていると、葉っぱは元気に茂っているのに、
いざ掘り起こしてみたらさつまいもが大きくならないという失敗を経験したことはないでしょうか。
家庭菜園を楽しむ中で、秋の収穫を楽しみにしていたのに細い根っこばかりだとがっかりしてしまいますよね。
この現象には、つるぼけという状態や、肥料のやりすぎ、プランター栽培特有の環境など、いくつか明確な理由があります。
育てやすい品種の選び方や、植え付け角度の違いなど、ちょっとしたコツを知るだけで、初心者でも立派な実を収穫できるようになるんです。
この記事では、さつまいもが育たない原因と、
それを防ぐための具体的な対策をわかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事で分かること
- 葉っぱばかり育つ「つるぼけ」の仕組みと予防策
- 肥料のやりすぎによる失敗を防ぐ土づくりの基本
- プランター栽培で失敗しないための容器の選び方
- 栄養を根に集中させる「つる返し」の正しいやり方
さつまいもが大きくならない原因とは

さつまいもの実が期待通りに育たないとき、実は土の中でいくつかの問題が起きていることが多いんです。
ここでは、なぜ立派に成長しないのか、その根本的な原因について順番に詳しく見ていきましょう。
つるぼけが原因で成長が止まる理由

さつまいもの栄養を蓄えるメカニズムと生存戦略
さつまいもが育たない最もよくある原因の一つが、「つるぼけ」と呼ばれる現象です。
これは、地上にある蔓(つる)や葉っぱばかりが異常に成長してしまい、肝心の地下のお芋に栄養がいかなくなってしまう状態のことを指します。
さつまいもは本来、とても過酷で栄養分の少ない荒れ地でも生き抜くことができる強い植物です。
土の中に栄養が少ないと、植物は「この厳しい環境を生き延びるために、光合成で作ったエネルギーを根っこにため込んでおこう」と判断します。
これが、お芋が大きく太るための基本的なメカニズムです。
しかし、環境が良すぎるとどうなるでしょうか。
水も栄養もたっぷりとある恵まれた状態だと、植物は「今は急いで栄養を蓄える必要はない。
それよりも、もっと茎や葉を伸ばして自分の体を大きくしよう!」と勘違いしてしまいます。
その結果、お芋を太らせるための栄養の通り道がストップしてしまい、いつまで経っても鉛筆みたいに細い実のままになってしまうんですね。
光合成で作られた炭水化物(糖分)が、すべて葉っぱを広げるためのエネルギーとして消費されてしまうわけです。
つるぼけの初期サインを見逃さないために
家庭菜園でさつまいもを育てていると、真夏に葉っぱが青々と生い茂り、蔓が畝(うね)からはみ出してジャングルのようになっているのを見て、
「今年はすごく元気に育っているな」と安心してしまうことがよくあります。
うちの中学1年生の息子と小学5年生の娘も、夏場にワサワサに茂った畑を見て「今年は巨大なお芋ができそう!」とはしゃいでいましたが、
実はこれこそがつるぼけの典型的なサインなんです。
本来、お芋にしっかりと栄養がいっている株は、蔓の伸びが適度な長さで落ち着いていて、葉っぱの色も少し落ち着いた緑色になります。
もし、葉っぱが不自然なほど濃い緑色をしていて、蔓の節と節の間が異常に長く間延びしている場合は、
土の中でお芋が育っていない可能性が高いので要注意かなと思います。
葉っぱが元気だとどうしても嬉しくなってしまいますが、地下の様子が見えないさつまいも栽培では、
地上の元気さが必ずしも地下の豊作とイコールではないということを、ぜひ覚えておいていただければと思います。
つるぼけの判断ポイント
夏場に葉っぱが大きくなりすぎたり、色が濃すぎたり、
蔓がどんどん伸びて歩くスペースがないくらいジャングルのようになっている場合は、
土の中でお芋が育っていないサインかもしれません。
肥料の与えすぎがもたらす失敗と対策
サツマイモ特有の強い吸肥力と肥料バランス
では、なぜ厄介なつるぼけが起きてしまうのでしょうか。
その最大の要因は「肥料(特に窒素成分)の与えすぎ」です。
肥料の三大要素として「窒素(葉や茎を育てる)」「リン酸(花や実を育てる)」「カリウム(根を育てる)」がありますが、
さつまいもは、自分で土の中からわずかな窒素を見つけて集める力が非常に強い植物なんです。
そのため、トマトやキャベツなどと同じような感覚で、植え付け前に元肥(もとごえ)をたっぷり入れてしまうと、
さつまいもにとっては明らかな「栄養過多」になります。
公的な機関の情報でも、チッソが多いと葉やつるだけが育っていもが大きくならないと明確に注意喚起されています。
(出典:農林水産省『サツマイモを育ててみよう』)特に注意したいのが、
前に別の野菜を育てていた畑やプランターの土をそのまま使うケースです。
葉物野菜や夏野菜を育てた後の土には、目に見えなくても前の肥料がたっぷりと残っていること(残肥)が多いんです。
正確な土壌管理で失敗を未然に防ぐ
そのような肥沃な土にさつまいもを植えると、こちらが元肥を全く入れていなくても、
勝手に土の中の窒素を吸い上げてしまい、あっという間に窒素過多になって葉っぱばかりが育ってしまいます。
さつまいもを育てる土は、他の野菜がうまく育たないような「少し痩せた土」くらいがちょうど良いと言われています。
とはいえ、目に見えない土の中の肥料分を感覚だけで把握するのは難しいですよね。
そこで私は、植え付け前に土の状態を正確に測るようにしています。
ちょっとお値段は張りますが、デジタル土壌酸度計・水分・EC測定計(プロ仕様ハイエンドモデル)などがあると、
土壌の肥料濃度や酸性度が数値で一目でわかるので、過剰な施肥を確実に防ぐことができます。
高価なツールですが、さつまいもだけでなくすべての野菜作りの失敗を減らせる一生モノの投資になるので、
本気で家庭菜園を楽しむ方には本当におすすめです。
対策のポイント
さつまいもを植えるときは、他の野菜の「半分以下」に肥料を抑えるか、無施肥にするのが成功の秘訣です。
途中で肥料を追加する「追肥」も、葉っぱの色が極端に黄色く退色しない限りは基本的にNGです。
品種選びで成長不良のリスクを減らす

肥料に敏感な昔ながらの在来品種
育てている「品種」によっても、肥料への敏感さが全然違うってご存知でしたか?
品種選びを工夫するだけでも、さつまいもが大きくならないリスクをぐっと減らすことができます。
土づくりがうまくいかなくても、品種の遺伝的なポテンシャルでカバーできる部分が意外と大きいんです。
昔からある「紅赤」や「高系14号」といった在来の品種は、根の吸肥力が極めて強いため、土の中に少しでも窒素が残っていると、
過敏に反応してすぐにつるぼけを起こしやすいという特徴があります。
これらの品種は昔ながらのホクホクとした素朴な味わいがあってとても美味しいのですが、
家庭菜園で限られたスペースや使い回しの土で育てるには、緻密な肥料計算が求められるため少し難易度が高い一面があります。
私自身も、こうした昔ながらの品種に挑戦したときは、肥料のコントロールにとても気を使いました。
初心者におすすめの育てやすい最新品種
一方で、最近スーパーなどでもよく見かける新しい品種群は、農家さんだけでなく一般の人でも比較的育てやすいように品種改良されています。
例えば「紅はるか」や「シルクスイート」などの品種は、ある程度土に栄養が残っていても、
自分自身でうまくコントロールして地上部の成長を抑え、お芋の方へ栄養を回してくれる賢い性質(耐肥性)を持っています。
もし過去に「葉っぱばかり茂って失敗した」という経験がある場合は、つるぼけしにくい最新の品種を選んでみるのがおすすめです。
また、苗を購入する際も、病気のリスクが少ない専門農家の特選ウイルスフリー苗(高品質ブランド苗)などを選ぶと、
初期の生育スピードが全く違います。
数百円の違いですが、秋の収穫量が格段に変わってくるため、苗には少し投資してみるのも良い作戦かなと思います。
| 品種名 | つるぼけのしやすさ | 特徴とおすすめ度 |
|---|---|---|
| 紅赤・高系14号 | しやすい(肥料に敏感) | 昔ながらのホクホク系。土づくりに慣れた中級者向け。 |
| 紅あずま | ややしやすい | 関東で定番。甘みが強いが、肥料のやりすぎには注意。 |
| 紅はるか | しにくい(耐肥性あり) | 甘みが非常に強く、環境に左右されにくいため初心者におすすめ。 |
| シルクスイート | しにくい(耐肥性あり) | なめらかな食感が特徴。比較的つるぼけしにくく育てやすい。 |
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プランター栽培で成長しない時の対策

根が張る物理的スペースとサークリング現象
ベランダなどで手軽にできるプランター栽培ですが、「さつまいもが大きくならない!」という声が特に多いのも事実です。
プランター栽培で失敗する最大の原因は、「容器の深さと土の容量不足」です。
さつまいもが立派に太るためには、土の中で根っこが四方八方に広がるための広大な物理的スペースが必要です。
一般的な浅いプランター(深さ20cm程度)だと、伸びた根がすぐに容器の底や壁面にぶつかってしまい、
そこでぐるぐると巻いてしまう「サークリング現象(根詰まり)」を起こします。
こうなると、植物は「もうこれ以上大きくなれない」と判断し、お芋の肥大が完全にストップしてしまいます。
水はけと温度管理を極めるためのアイテム
もう一つの大きな原因が「水はけの悪さ」と「温度上昇」です。
さつまいもは乾燥気味の環境を好む植物ですが、プラスチック製のプランターの中は水が逃げにくく、
特に底の方は常にジメジメとした過湿状態になりがちです。
根っこが水に浸かって呼吸できなくなると、お芋が腐ったり成長が止まったりしてしまいます。
また、真夏のベランダではコンクリートの照り返しでプランター内の温度が異常に上昇し、根が煮えてしまうこともあります。
こうした過酷な環境を劇的に改善するために、
イタリア製の大型テラコッタ風を使用しています。
かなり高価なアイテムですが、断熱性と通気性が一般的なプラスチックとは段違いで、真夏でも土の中の環境が安定します。
ベランダの景観も損なわず何年も使える一生モノですし、深さが十分にあるのでお芋が驚くほど伸び伸び育ちます。
本気でプランター栽培を成功させたい方には一見の価値ありですよ。
プランター栽培を成功させるコツ
- 深さが最低でも30cm以上、土が数十リットル入る大型の容器や深型の袋を使う。
- 鉢底石をしっかり厚めに敷き詰め、赤玉土やパーライトを多めに配合した「水はけ特化型」の土を使う。
- コンクリートやアスファルトに直接置かず、すのこやレンガの上に置いて熱を遮断し、風通しを良くする。
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植え付け角度と成長スピードの関係

頂芽優勢と根が出るメカニズム
苗を土に植えるときの「角度」や「深さ」も、実はお芋の大きさや数を決定づける極めて重要なポイントになります。
「とにかく一つひとつのお芋を巨大にしたい!」という目的がある場合は、植え方を工夫するだけで結果が劇的に変わります。
さつまいもの苗(蔓)をよく見てみると、葉っぱがついている付け根のところにポコッとした「節」がありますよね。
土に埋まったこの「節」の部分から不定根と呼ばれる根っこが生えてきて、それが少しずつ太ってさつまいもになります。
植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、どの節から根を出すか、
どこに栄養を集中させるかというホルモンバランスが、植え付ける角度によって変化するんです。
つまり、土の中にいくつの節を、どのくらいの深さで埋めるかによって、お芋の育ち方が完全にコントロールできるというわけです。
垂直植えで栄養を一点集中させる
例えば、浅く水平に植え付けると、地表近くの温かい土にたくさんの節が均等に埋まるため、
数は多くなりますが一つひとつのサイズは中くらいになりやすいです。
スーパーで売っているような扱いやすいサイズがたくさん欲しい場合はこの方法が適しています。
しかし、もし「さつまいもが大きくならない」という悩みをお持ちなら、あえて節の数を減らして栄養を集中させるアプローチが有効です。
私のおすすめは、ズバリ「垂直植え」です。
これは苗を真っ直ぐ、縦に深く挿し込む植え方です。深く植えることで地表付近の複数の節から根が出るのを防ぎ、
地中の限られた少ない根っこにエネルギーを一点集中させることができます。
収穫できる個数自体は少なくなってしまいますが、確実に丸くて巨大な塊根(かいこん)を得たい場合には最も理にかなった手法と言えます。
短い苗しか手に入らなかった時にも使える便利なテクニックなので、ぜひ試してみてください。
| 植え付け手法 | 特徴と定植手順 | どんなお芋になる?(メリットとデメリット) |
|---|---|---|
| 水平植え | 苗を寝かせて、浅い位置(約10cm)に複数の節を水平に埋める。 | サイズが揃った中型のお芋がたくさん収穫できる。浅いため乾燥に弱い。 |
| 船底植え | 中央を深く、両端の節が浅くなるようにカーブさせて(船底のように)植える。 | 深く根を張るため乾燥や寒さに強く、全体の総収量が最も多くなりやすい。 |
| 垂直植え | 苗を地表面に対して真っ直ぐ、垂直に深く挿し込む。短い苗でも可能。 | お芋の数は減るが、栄養が集中するため一つひとつが丸く巨大に育つ。 |
さつまいもが大きくならない時の解決策
ここまでは、さつまいもが育たない環境的な原因や品種・植え方についてお話ししてきましたが、
ここからは実際に育てている途中で発生する問題を解決し、しっかりとお芋を太らせるためのお世話のコツや、
気をつけるべき管理のポイントについて詳しく解説していきます。
つる返しで根への栄養分散を防ぐ方法

不定根がもたらす致命的な栄養分散
さつまいもが成長して真夏を迎え、蔓がぐんぐん伸びて土の上に這うようになってくると、
その蔓の途中の節々から新しいヒゲ根(不定根)が生えてきて、地面にガッチリと根付いてしまいます。
さつまいもは非常に生命力が強いので、これをそのまま放置しておくと、
植物は「おっ、ここにも新しく根が張れたぞ!ここにも新しいお芋を作って子孫を残そう!」と一生懸命になってしまいます。
するとどうなるかというと、葉っぱで光合成をして作られた大切な栄養(炭水化物)が、
本来大きく太らせるべき株元のメインのお芋(主根)に集中せず、あちこちに広がった無数の不定根へと分散して供給される現象が起きてしまいます。
100の栄養を1つの場所に送れば立派なお芋になるのに、10の栄養を10箇所の不定根に分けて送ってしまうわけです。
その結果、結局どれも中途半端で、鉛筆のように細長い状態のまま成長が止まってしまうのです。
正しいつる返しのタイミングと必須ツール
この栄養の分散を物理的に遮断し、メインのお芋に強制的に栄養を集約させるための栽培テクニックが「つる返し」です。
夏の生育中期、蔓が地面に根付き始めたら必ず行いたい重要な作業です。
やり方としては、伸びて地面に活着している蔓を、バリバリっと音を立てて土から引き剥がし、
株元に向かって裏返すようにドサッと乗せていきます。
少し可哀想に思えるかもしれませんが、途中の根っこをしっかり切断することで、栄養が再び株元に回帰し、お芋の著しい肥大が促進されます。
もし、蔓が多すぎてジャングルのようになっていてひっくり返すのが困難な場合は、
畝からはみ出した蔓を切り落としてしまうのが手っ取り早いです。
蔓を切る際は、植物の組織を潰さずスパッと切れる高級剪定ばさみ(職人手作りモデル)などを使うと、
切り口からの病気の感染リスクを減らすことができます。
良い道具を使うと作業自体も楽しくなるので、ガーデニングのモチベーションアップにも繋がりますよ。
つる返しのやり方とコツ
夏場に地面に根付いてしまった蔓を引き剥がし、株元に向かってひっくり返すように乗せていきます。
風通しを良くして病気を防ぐ効果や、蔓が外へ広がる勢いを抑える効果(つるぼけ対策)も期待できます。
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積算温度と光合成のメカニズム
さつまいもが地中で大きく肥大するためには、「適切な温度」と「十分な生育期間」の2つが絶対に必要です。
植物の成長には「積算温度(毎日の平均気温を足していった数値)」という概念があり、
さつまいもが立派に育つためには特定の積算温度に到達しなければなりません。
熱帯アメリカが原産の植物なので、暑さや強い日差しには非常に強いのですが、その反面、寒さにはめっぽう弱いという特徴を持っています。
生育の適温は20℃〜35℃と高めで、この温度帯でたっぷりと太陽の光を浴びることで光合成の酵素が最も活発に働き、
お芋を太らせるためのエネルギーをドンドン作り出します。
一般的な地域(中間地)での最適な植え付け時期は「5月中旬から6月上旬」です。
このタイミングで植え付けを済ませることで、梅雨明けのカンカン照りの真夏を一番成長する時期にぴったりと当てることができ、
秋の冷え込みが来るまでに必要十分な期間を確保できる計算になります。
遅植えが致命的な肥大不良を招く理由
しかし、「ホームセンターで苗を買いそびれた」「週末の天気が悪くて畑の準備ができなかった」などの理由で、
定植時期が6月中旬や7月にズレ込んでしまうと、取り返しのつかない致命的な問題が生じます。
さつまいもが定植後に根を張り、地上部の葉っぱを展開し終えて、
いざ地下のお芋へと本格的に栄養を送り込もうとする「肥大期」に差し掛かる頃には、すでに秋の気配が近づき、
外の気温がグッと下がってしまっているのです。
気温が15℃を下回り始めると、植物の活動スイッチが切れてしまい、光合成のスピードも急激に落ちます。
結果として、お芋を太らせるための栄養が十分に供給されず、細い実のまま成長が完全にストップしてしまいます。
大きくならない理由の多くが、実はこの「植え付け時期の遅れによる温度不足」に起因していることが多いので、
カレンダー通りの適期定植を何よりも優先したいですね。
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収穫時期の目安と試し掘りの重要性
適切な収穫タイミングの判断基準と低温障害
「さつまいもがまだ小さいから、もう少し土の中に置いておけばもっと大きくなるかも?」と期待して、
冬近くまで掘り起こさずに粘ってしまう方がいますが、実はこれは完全な逆効果なんです。
さつまいもの収穫適期は、品種にもよりますが、一般的に植え付けから「120日〜140日」程度と言われています。
この日数を過ぎて秋も深まり、
外の気温が下がっている状態では、いくら土の中に放置しても光合成の効率が落ちているため、これ以上お芋が太ることはありません。
むしろ、土の温度が「9℃」を下回ってしまうと、熱帯性のさつまいもは深刻な低温障害(チリング・インジュアリー)を引き起こし、
細胞組織が壊れて地中でドロドロに腐敗するリスクが跳ね上がってしまいます。
そのため、どんなに遅くとも必ず「初霜が降りる前」には全ての収穫を完了させる必要があります。
適期が近づいたら、天気の良い日に株元の土をそっと手で掘ってみて、
お芋の大きさを確認する「試し掘り」をしてから全体の収穫日を決めるのが最も確実な方法です。
デンプンを糖に変える魔法「追熟」

無事に立派なお芋が掘り出せても、その日のうちに焼き芋にしてはいけません!掘り立てのさつまいもは、
水分が多くてデンプンがまだ分解されていないため、甘みが全くなく、モサモサした食感になりがちです。
究極の甘さを引き出す「追熟(ついじゅく)」
掘り上げたお芋は、絶対に水洗いせずに土を軽く払い、風通しの良い日陰で「約2週間から1ヶ月」ほど置いて休ませましょう。
この期間中に、お芋の中に含まれるβ-アミラーゼという酵素が活発に働き、デンプンを麦芽糖(甘み成分)へと加水分解してくれます。
この追熟のプロセスを経て、初めてさつまいも本来の強烈な甘みと、ねっとり・ホクホクとした至高の食感が引き出されるんです。
焦らず待つのが最大のコツですね。
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害虫被害と土壌病害を防ぐポイント
見えない土壌害虫(センチュウ類)の脅威
水やりも完璧、肥料も控えめ、日当たりもバッチリで植え付け時期も守ったのに、どうしてもさつまいもが大きくならない…。
そんな時は、土の中に潜む「見えない敵」が原因かもしれません。さつまいもの地下部における最大の脅威が、
「ネコブセンチュウ」や「コガネムシの幼虫」といった土壌害虫です。
特にサツマイモネコブセンチュウは非常に厄介で、根っこの組織内部に侵入して細胞を異常増殖させ、
ボコボコとした不気味なコブを作ってしまいます。
これによって根が水分や栄養を吸い上げる機能が完全に破壊されてしまい、地上部は元気でも地下のお芋が全く太らなくなります。
また、コガネムシの幼虫は土の中でお芋の表面を無差別にガリガリとかじり、見た目をボロボロにするだけでなく、
その傷口から二次的な雑菌が入って腐る原因にもなります。
無農薬で対策する場合は、夏場に透明マルチを張って太陽の熱で土を熱湯消毒したり、
マリーゴールドやエンバクといった虫が嫌がる植物(対抗植物)を作付けして線虫を減らす輪作体系が効果的です。
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壊滅的な被害をもたらす基腐病の予防
また、近年全国の生産現場で最も警戒されているのが「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」というカビ(糸状菌)が原因の土壌伝染性病害です。
この病気にかかると、蔓の地際が黒く変色して枯れ、最終的には地下のお芋の内部まで完全に腐敗させてしまいます。
一度発生すると土の中に菌が残ってしまうため、予防が何よりも大切になります。
※害虫・病気対策に関する注意点
基腐病や深刻な害虫被害を防ぐためには、必ず「発病歴のない清浄な圃場で育成された健全な苗」を購入することが第一歩です。
また、同じ場所で続けてさつまいもを植える「連作」は避けてください。
どうしても被害が収まらない場合は、植え付け前の土壌混和剤(ダイアジノン粒剤など)や殺菌剤の使用を検討する必要があります。
しかし、農薬の使用時期や使用量は法律で厳密に定められており、健康や環境の安全に直結する重要な部分です。
ご使用の際は必ずパッケージの記載やメーカーの公式サイトの正確な情報を確認し、自己責任での使用を心がけてください。
最終的な判断は、お近くの園芸店や農業指導の専門家にご相談されることを強くおすすめします。
土壌環境を整える上で、農薬に頼りたくない方には、
有用微生物群を豊富に含んだ最高級の熟成有機ペレット堆肥(土壌改良材)などを定期的にすき込むことで、
土の中の善玉菌を増やし、病原菌が繁殖しにくいフカフカの土を作るというアプローチも非常に有効ですので、ぜひ試してみてください。
さつまいもが大きくならない対策まとめ

成功へのステップを最終チェック
いかがでしたでしょうか。
今回は、さつまいもが大きくならない様々な原因と、ご家庭の畑やプランターでもすぐに実践できる具体的な解決策について、
植物の生理学的なメカニズムも交えながらかなり詳しく掘り下げて解説してきました。
最後に重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
まず何よりも大切なのは、「肥料(特に窒素成分)を徹底的に控えること」です。
これだけで、失敗の大部分を占めるつるぼけを未然に防ぐことができます。
前作の肥料が残っているかもしれないと疑い、極限の省肥管理を心がけてください。
そして、限られたスペースのプランター栽培では深くて水はけの良い容器を用意し、畑の場合は5月中旬〜6月上旬の適期に植え付けること。
夏場には「つる返し」で余分な根を物理的に切り離し、メインのお芋に栄養を全集中させることも忘れないでくださいね。
もし、今まで数が多くても細いお芋ばかりだったという方は、今年はぜひ「垂直植え」にもチャレンジして、
巨大なお芋作りに挑戦してみてほしいなと思います。
来年こそ大豊作の笑顔を目指して
さつまいもは本来、とても強靭で生命力にあふれた素晴らしい作物です。
今回ご紹介したような、彼らの特性に合わせたちょっとした栽培のコツと環境作りをしてあげるだけで、
その溢れんばかりのエネルギーを全て「地下の実を太らせる」方向へと向けてくれます。
土の中の環境やその年の気候によっても成長具合は毎年変わってきますが、それも家庭菜園の醍醐味の一つですよね。
一つひとつの対策を丁寧に実践していけば、必ず結果はついてくるはずです。
この記事が、皆さんのさつまいも栽培のお悩みを解決するヒントになれば嬉しいです。
秋には、ご家族みんなでとびきりの笑顔になれるような、立派で甘〜いさつまいもがダンボールいっぱいに収穫できることを、
心から応援しています!ぜひ今年の栽培を楽しんでくださいね。



