こんにちは!家庭菜園を楽しんでいますか?夏野菜の王様といえば、ネバネバとした食感がたまらないオクラですよね。
ホームセンターで苗を見かけたり、種袋を手に取ったりしたとき、ふと疑問に思うことはありませんか?
特にプランターで育てる場合、限られたスペースの中で
「一体、ひとつのプランターに何本の苗を植えるのが正解なのか?」という問題は、
多くの菜園ビギナーだけでなく、経験者の方でも頭を悩ませるテーマだと思います。
教科書や種袋の裏面には「間引きをして元気な1本を残しましょう」と書かれていることが多いですが、
本当にそれがプランター栽培においてもベストな選択なのでしょうか。
実は、最近の家庭菜園のトレンドや研究では、あえて間引かずに複数本を育てる「密植栽培」や、
限られた土の量でも効率よく育てるための「株間」の取り方、さらには狭いスペースでの「支柱」の立て方など、
従来の常識を覆すような栽培テクニックが注目されています。
私自身も以前は「1本立ち」にこだわっていましたが、すぐに巨大化して実が硬くなってしまう失敗を繰り返していました。
しかし、思い切って「多本仕立て」に切り替えたところ、
柔らかい実が長く収穫できるようになり、ベランダ菜園での満足度が劇的に上がったんです。
今回は、そんな私の経験と最新の栽培データをもとに、深型プランターなどを活用した「寄せ植え」のコツや、
最適な本数の決定版について、どこよりも詳しくお話ししていきたいと思います。
この記事で分かること
- プランター栽培における最適なオクラの栽植本数と密度の考え方
- 間引きをせずに複数本仕立てにすることで得られる収量と品質のメリット
- 限られた土の量で成功させるための品種選びと適切な土壌容量
- 密植栽培を成功させるための水やりや肥料、葉かきなどの管理テクニック
ここからは、従来の「1本仕立て」の常識を疑い、プランターという環境だからこそおすすめしたい「密植栽培」の具体的な方法と、
その根拠となるデータについて詳しく解説していきます。
オクラのプランター栽培は何本植えが正解?

結論から申し上げますと、プランター栽培において私が最も強くおすすめしたいのは、
教科書通りの1本仕立て(1本立ち)ではなく、あえて密度を高めて植える「多本仕立て(密植栽培)」です。
「えっ、そんなに植えて大丈夫なの?」「栄養を取り合って共倒れするんじゃ?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。
ですが、限られた根のスペースを逆に利用し、植物の生理的な性質をうまくコントロールすることで、
収量を最大化できるんです。
なぜ密植がプランター栽培の最適解となり得るのか、具体的な数字やメカニズムとともに深く掘り下げて見ていきましょう。
密植栽培で収量を増やすおすすめの育て方

通常、オクラの栽培マニュアルや種袋の説明書きを見ると、判で押したように
「本葉が出たら間引きを行い、元気な苗を1本残して育てましょう」と記載されています。
これは、畑のような広いスペースで根を深くまで(時には1メートル以上!)張らせ、
地上部を2メートル近くまで巨大に成長させることを前提とした「露地栽培」のセオリーなんです。
しかし、プランターという限られた容器の中では、事情が全く異なります。
私が過去にプランターで忠実に「1本仕立て」を行ったときは、確かに茎は直径3センチを超えるほど立派な「木」のようになりましたが、
その分、悩みも尽きませんでした。
まず、栄養が1株に集中しすぎるため、実の成長スピードが異常に早いのです。
朝、「あ、ちょっと小さいかな。夕方に収穫しよう」と思って出かけ、帰宅してみると、
もうお化けのように巨大化してカチカチに硬くなっている...なんてことが日常茶飯事でした。
これは、豊富な光合成産物が果実に急速に送り込まれ、繊維質(リグニン)の発達を早めてしまうためです。
そこで提案したいのが、1つの植え穴(ポット)に対して3本から5本をまとめて育てる「密植栽培」です。
近年の家庭園芸の研究や、YouTubeなどで公開されている多くの比較栽培実験データを見ても、
1本仕立てよりも3本〜5本仕立ての方が、プランター1個あたりのトータル収穫数が圧倒的に多いという結果が示されています。
そのメカニズムは「競合(コンペティション)」にあります。
1箇所に3〜5本を植えると、当然ながら株同士が土の中の養分や水分、そして地上の光を奪い合います。
この適度なストレスがかかることで、個々の成長スピードが良い意味で抑制されるのです。
結果として、実の肥大スピードが緩やかになり、「収穫適期(実が柔らかくて美味しい期間)」が長く続くようになります。
実際に私の菜園での記録を振り返っても、1本仕立ての株からは1シーズンで20〜30個程度しか収穫できませんでしたが、
1箇所に5本植えたプランター(合計10本)からは、小ぶりながらも合計で100個近いオクラを収穫できた年もありました。
家庭菜園では「巨大なオクラを少しだけ」よりも、「サラダに使える柔らかいオクラをたくさん」収穫したいですよね。
そのニーズに合致するのが、まさにこの密植栽培なのです。
密植栽培のメリットまとめ
- 実が柔らかいまま維持できる: 成長速度が分散されるため、すぐに硬くなるのを防げます。
- 総収量がアップする: 1株あたりの収量は減っても、本数が多い分、全体としての収穫数は倍増します。
- 管理が楽になる: 毎日収穫に追われなくても、週末の収穫でも柔らかい実が採れる確率が上がります。
65cm深型プランターのサイズと土の量

「密植が良いのはわかったけれど、具体的にどんなプランターに何本植えればいいの?」という疑問にお答えします。
ここで最も重要なのは、プランターの「幅(長さ)」ではなく、「深さ」と「土の容量(リットル)」です。
オクラはアオイ科の植物で、ゴボウのように太い根を垂直に伸ばす「直根性」という性質を持っています。
そのため、浅いプランターではすぐに根が底についてしまい、
底面でぐるぐると渦を巻く「サークリング現象」を起こして根詰まりしてしまいます。
ホームセンターでよく見かける安価な「標準プランター(65cm幅)」は、土の容量が約12L〜15L程度しかないものも多く、
これではオクラの密植栽培には力不足です。水切れも早いですし、すぐに肥料切れを起こしてしまいます。
私が強く推奨するのは、「深型」や「菜園用」と銘打たれた、容量が40L〜70Lクラスの大型65cmプランターです。
例えば、アイリスオーヤマの「ベジタブルプランター」やリッチェルの「菜園上手」シリーズなどがこれに該当します。
土の量が確保できて初めて、複数本を植える「密植」が可能になります。
土の容量と推奨本数の関係を以下の表にまとめましたので、お手持ちのプランターと照らし合わせてみてください。
| プランタータイプ | 土の容量(目安) | 推奨植え付けスタイル | 合計本数 |
|---|---|---|---|
| 深型・大容量65cm (推奨!最もおすすめ) | 約70L以上 | 2箇所に穴をあけ、 各穴に5本ずつ植える | 10本 |
| 標準65cmプランター (深さが20cm程度のもの) | 約40〜50L | 2箇所に穴をあけ、 各穴に3本〜4本植える | 6〜8本 |
| 丸型10号ポット (直径30cm程度) | 約15L | 中央に1箇所、 3本まとめて植える | 3本 |
このように、「深型65cmプランター」を用意できるなら、プランターを2つのエリアに分け(株間30cm程度)、
それぞれに5本ずつ、合計10本育てるのが最も収量を期待できる「最強の布陣」です。
もし標準的なプランターしかない場合は、無理に10本植えると水切れで枯れてしまうリスクが高まるため、
合計6本〜8本程度に抑えるのが安全策です。
土の量は、オクラの根が伸び伸びと育てる「家」の広さそのものですから、できるだけ余裕を持たせてあげましょう。
苗の間引きをせず複数本育てるメリット

「間引き」という作業は、家庭菜園初心者にとって精神的に辛い作業でもありますよね。
せっかく発芽して一生懸命育っている小さな芽を、自分の手で引き抜いて捨てなければならないのですから。
「かわいそうで抜けない...」と躊躇しているうちに、
タイミングを逃して徒長させてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
しかし、密植栽培ならその罪悪感から解放されます!基本的に間引きをせず、
発芽した苗(あるいは購入したポット苗に生えている複数本)をそのまま育ててOKだからです。
そして、間引きをしないことには、収量アップ以外にも「物理的な安定性」という大きなメリットがあります。
それが「倒伏リスクの劇的な低減」です。
オクラは成長すると草丈が高くなり、葉も大きいため、風の影響を非常に強く受けます。
1本仕立ての場合、台風や急な突風が吹くと、茎がポキリと折れたり、根こそぎ倒れたりすることがよくあります。
しかし、3本〜5本を束にして育てると、地中ではそれぞれの根が複雑に絡み合い、
お互いをガッチリと掴んで離さない「天然のアンカー(錨)」のような構造を作り出します。
地上部においても、茎同士が適度に寄り添い合うことで、群落としての強度が増します。
単独では風に煽られてしまう細い茎も、スクラムを組むように集まることで、
互いに支え合い、強風にも耐えられるようになるのです。
特に、風が吹き抜けやすいマンションの高層階やベランダで栽培する場合、
この「お互いが支え合う」構造は、支柱への依存度を下げ、栽培の成功率を大きく高めてくれる心強い味方となります。
狭い株間でのオクラ栽培と支柱の立て方

密植栽培を行うと、当然ながら株と株の間隔(株間)は狭くなります。
深型65cmプランターに2箇所植えをする場合、株間は約30cm〜35cm程度しか確保できません。
ここに合計10本ものオクラがひしめき合うことになるため、適当に育てていると葉が重なり合い、
光合成ができなくなったり、風通しが悪くなって病気になったりしてしまいます。
そこで重要になるのが、効果的な「支柱の立て方」と「誘引」です。
1本仕立てのように、1株につき1本の支柱を立てていては、プランターが支柱だらけになってしまいますし、
根を傷つけるリスクも高まります。
私が実践しているおすすめの方法は、以下の2パターンです。
おすすめの支柱テクニック
① センターポール方式:
各植え穴(3〜5本の束)の中心、またはすぐ脇に、太くて丈夫な支柱(直径16mm以上推奨)を1本だけ深く挿します。
そして、その支柱に対して、周りの3〜5本の茎を「8の字結び」で緩やかに誘引します。
これなら支柱はプランター全体で2本で済みます。
② あんどん仕立て(周回方式):
プランターの四隅に支柱を立て、麻紐やビニール紐で周囲をぐるりと囲います。
オクラが成長して外側に倒れそうになるのを、この紐で受け止めるスタイルです。
個別に茎を縛る必要がないため、管理が非常に楽になります。
密植栽培のオクラは、1本仕立てのときほど背が高くなりません(だいたい1.2m〜1.5mくらいで成長が止まることが多いです)。
そのため、2メートル級の長い支柱を用意しなくても、150cm程度の支柱で十分対応可能です。
株間が狭い分、葉と葉が触れ合うのは避けられませんが、後述する「摘葉(葉かき)」をしっかり行えば、
この狭いスペースでも十分に日光を浴びさせることができます。
矮性品種ならプランターでも育てやすい

プランターで密植栽培を成功させるためのもう一つの鍵、それは「品種選び」です。
ホームセンターで適当に苗を選んでいませんか?
実はオクラには、草丈が2メートルを超える「高性種」と、コンパクトに育つ「矮性(わいせい)種」が存在します。
プランター栽培、特に密植を行うなら、断然「矮性品種」がおすすめです。
例えば、「大和ティダ」や「アーリーファイブ」といった品種は、節間(葉と葉がついている茎の間隔)が短くなるように改良されており、
背丈が低くても節の数が多いため、たくさんの実をつけることができます。
また、「ミニオクラ」として販売されている品種も、実が小さいうちに収穫することを前提としているため、
株への負担が少なく、限られた土の量でも次々と花を咲かせてくれます。
さらに、私のように「平日は仕事で忙しくて、毎日は収穫できないかも...」という方に強くおすすめしたいのが、「丸オクラ(島オクラ)」です。
一般的な五角形のオクラ(角オクラ)は、収穫適期を1日でも過ぎるとすぐに筋が入って硬くなってしまいますが、
丸オクラは果実の断面が丸く、肉質が非常に柔らかいのが特徴です。
なんと15cmくらいまで大きくなっても、生で食べられるほど柔らかさを保ってくれます。
この「取り遅れても大丈夫」という特性は、週末ガーデナーにとって最強の武器になります。
密植栽培による「成長抑制効果」と、丸オクラの「柔らか維持特性」を組み合わせれば、
失敗のリスクはほぼゼロになると言っても過言ではありません。
次章では、この「多本仕立て」を成功させるための、日々の具体的な管理方法について深掘りしていきます。
本数が多い分、お世話の仕方も少し変える必要があります。
オクラをプランターに何本も植える管理のコツ

さて、ここからは実際に植え付けた後の管理についてお話しします。
密植栽培は「植えて終わり」ではありません。
限られた土の栄養を10本近い株で分け合うわけですから、1本仕立ての時と同じ感覚で水や肥料を与えていると、
あっという間にスタミナ切れを起こしてしまいます。
美味しいオクラを秋まで長く収穫し続けるための、プロも実践する管理のポイントを伝授します。
培養土の選び方と失敗しない肥料の施し方

まず土選びですが、基本的にはホームセンターなどで市販されている「野菜用培養土」を使用するのが一番の近道です。
これらは最初から排水性と保水性のバランスが調整されており、初期生育に必要な肥料(元肥)も配合されているため、
袋から出してそのまま使えるのが魅力です。
もし、昨シーズンに使った古い土を再利用(リサイクル)する場合は、少し注意が必要です。
オクラは酸性の土壌を嫌う性質があるため、植え付けの2週間ほど前に「苦土石灰」を混ぜ込んで、
酸度を調整(pH6.0〜6.5目安)しておくことが必須となります。
また、古い土は団粒構造が崩れて硬くなっていることが多いので、腐葉土やたい肥をたっぷりと混ぜ込み、
ふかふかの状態に戻してあげましょう。
密植栽培では根が密集するため、土が硬いと根が呼吸できずに弱ってしまいます。
そして、栽培の成否を分けるのが「肥料」の与え方です。オクラは成長期間が長く、
実を次々とつけるため「肥料食い」と呼ばれるほど多くの養分を必要とします。
しかし、ここで陥りやすい罠があります。
それは、「最初から肥料をあげすぎてしまうこと」です。
「たくさん植えるんだから、最初からガッツリ肥料を入れなきゃ!」と意気込んで、
元肥を規定量より多く入れたり、植え付け直後から追肥をしたりするのはNGです。
初期段階で窒素分が多すぎると、葉っぱばかりが巨大化して実がつかない「つるぼけ(木ボケ)」という状態になったり、
メタボ気味の株にアブラムシが大量発生したりする原因になります。
失敗しない施肥の鉄則
元肥は培養土に含まれている分(または規定量)だけで十分です。
追肥をスタートするのは、焦らず「一番花が咲いて、その実が少し膨らみ始めてから」にしましょう。
最初の実は株を大きくするために早めに摘み取り、そのタイミングで1回目の追肥を行うのがベストです。
最初からアクセル全開にしないことが、長く楽しむコツですよ。
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水やりと追肥でオクラの収穫期間を延ばす

梅雨が明け、本格的な夏が到来すると、オクラの成長スピードは一気に加速します。
ここで最も気をつけなければならないのが「水切れ」です。
特に、私が推奨している「10本密植栽培」の場合、プランターの中は根っこで満員状態。
地上部にはたくさんの葉が茂っているため、
葉からの蒸散(人間でいう発汗)によって、驚くべきスピードで土中の水分が失われていきます。
7月中旬以降の高温期には、朝1回の水やりだけでは夕方までもたないことがほとんどです。
水切れを起こすと、オクラはすぐにSOSサインを出します。
下の葉が黄色くなって落ちたり、せっかくついた実が「く」の字に曲がったり、
表面にイボイボができたりするのは、水分不足の典型的な症状です。
これを防ぐためには、朝と夕方の1日2回、プランターの底から水がジャバジャバと溢れ出るまでたっぷりと水やりを行ってください。
「表面が濡れたからOK」ではなく、新鮮な水と一緒に酸素を根元まで届けるイメージで、
鉢の中の水を総入れ替えするつもりで与えるのがポイントです。
また、土の表面からの蒸発を防ぐために、ワラや腐葉土、
あるいは専用のマルチシートで土の表面を覆う「マルチング」を行うのも非常に効果的です。
これにより地温の上がりすぎも防げるため、根へのダメージを軽減できます。
そして、水やりと同じくらい重要なのが、夏の間のスタミナ補給である「追肥」です。
一般的な栽培では「固形肥料を月に1回」が目安とされていますが、密植栽培の場合は、
根が密集していて固形肥料だと行き渡りにムラが出ることがあります。
そこで私がおすすめするのは、「液体肥料(液肥)」を中心とした管理です。
週に1回、水やりの代わりに規定倍率に薄めた液体肥料を与えます。
液体なので速効性があり、密植したすべての根に均等に栄養を届けることができます。
「薄い肥料をこまめに与える」ことで、肥料切れと肥料焼けの両方を防ぎながら、
秋口までバテさせずに収穫を続けることが可能になります。
もし、「花が咲かずにつぼみのまま落ちる」「葉の切れ込みが深くなって細くなってきた」という症状が出たら、
それは肥料不足のサインですので、液肥の回数を増やして対応してください。
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摘葉や葉かきで風通しを良くする手順

密植栽培を成功させるための最重要テクニック、それが「摘葉(てきよう・葉かき)」です。
10本ものオクラが狭いスペースで育つわけですから、放っておくと葉が重なり合い、
株元は薄暗いジャングルのようになってしまいます。
これでは風通しが悪くなり、湿気を好む病気や害虫の温床になってしまいます。
しかし、難しく考える必要はありません。ルールはたった一つ。
「オクラの実を1本収穫したら、その実のすぐ下についている葉っぱを全て切り落とす」、これだけです。
| 摘葉の手順 | 理由と効果 |
|---|---|
| 1. 実を収穫する | まずは美味しいオクラをハサミでカットして収穫します。 |
| 2. 下葉をカットする | 収穫した実のすぐ下にある葉は、もう役割を終えつつあります。その節より下にある葉は、思い切って全てハサミで切り落とします。 |
| 3. 常に上部だけ葉を残す | 最終的に、成長点に近い上部の葉が2〜3枚残っている状態をキープしながら、成長に合わせて下をどんどんスカスカにしていきます。 |
「えっ、そんなに葉っぱを切ってしまって光合成は大丈夫なの?」と心配になるかもしれませんが、大丈夫です。
オクラは成長点に近い新しい葉で盛んに光合成を行い、古い下葉はむしろ呼吸によるエネルギー消費の方が大きくなる傾向があります。
この「わき芽かき」ならぬ「葉かき」を徹底することで、株元には常に新鮮な空気が通り抜け、
太陽の光が地際まで届くようになります。
これがアブラムシの定着を防ぎ、うどんこ病などの病気を予防する最強の物理的対策となります。
密植栽培では、この作業をサボらないことが、長く健康に育てるための絶対条件と言えるでしょう。
実が硬くなるのを防ぐ収穫のタイミング

家庭菜園でのオクラ栽培、最大の失敗談といえば「実が大きくなりすぎて、筋張って食べられなかった」というものではないでしょうか。
オクラの実は開花後、急速に肥大します。
特に気温が30度を超える真夏日は、朝には「あと半日かな」と思っていたサイズが、
夕方には巨大化してカチカチになっていることも珍しくありません。
密植栽培をしていると、1本立ちの場合に比べて成長スピードは多少緩やかになりますが、それでも油断は禁物です。
品種にもよりますが、基本的には「6cm〜7cm程度」のやや小ぶりな段階で早めに収穫することを強くおすすめします。
スーパーで売っているオクラは10cmくらいのものが多いですが、
家庭菜園ではそれよりも「ひと回り小さいサイズ」が一番の食べごろです。
「もう少し大きくしてから...」という欲は、オクラ栽培においては命取りです。
実が大きくなりすぎると、株の体力が種を作ることに使われてしまい、次の花が咲きにくくなってしまいます(これを「なり疲れ」と言います)。
早めの収穫は、柔らかくて美味しい実を味わえるだけでなく、
株の負担を減らして、シーズン後半まで長く収穫を続けるための「株への思いやり」でもあるのです。
もし、収穫のタイミングを逃して巨大化してしまった場合は、残念ですが食用は諦めましょう。
無理に食べようとしても繊維が強くて噛み切れません。
その実はそのまま放置して「種取り用」にするか、早めに切り取って株の体力を回復させるかの二択です。
種取りをする場合は、茶色くカラカラになるまで秋まで放置しておけば、来年用の種が採れますよ。
バジルと寄せ植えしてアブラムシを避ける
最後に、限られたプランターのスペースをさらに有効活用し、かつ農薬に頼らず害虫を防ぐためのアイデアをご紹介します。
それが「コンパニオンプランツ(共栄作物)」の活用です。
オクラは美しい花を咲かせますが、同時にアブラムシやハマキムシといった害虫を引き寄せやすい植物でもあります。
そこでおすすめなのが、オクラの株元に「バジル(スイートバジル)」を混植することです。
オクラ×バジルの相性が良い理由
- 害虫忌避効果: バジルが持つ特有の強い香り成分(リナロールなど)は、アブラムシが嫌うため、オクラへの飛来を減らす効果が期待できます。
(※完全にゼロになるわけではありませんが、バリアの役割を果たします) - 水分管理が同じ: オクラもバジルも「お水大好き」な植物です。
乾燥を嫌う性質が似ているため、同じプランターで頻繁に水やりをしても根腐れしにくく、管理の足並みが揃います。 - 空間の有効活用: 縦に高く伸びるオクラと、足元でこんもりと茂るバジル。
生育スペースが競合しないため、プランターという狭い空間を立体的にフル活用できます。
植え方は簡単です。オクラを植え付けたプランターの空いているスペース(株間や四隅)に、バジルの苗を2〜3株植えるだけ。
オクラの葉が日傘の役割を果たし、バジルの葉が柔らかく育つのも嬉しいポイントです。
収穫したオクラとバジルを使って、夏野菜のパスタやサラダを作るなんて、最高に贅沢な家庭菜園の楽しみ方だと思いませんか?
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オクラのプランターは何本植えるかで決まる
長くなりましたが、今回の記事のポイントを改めてまとめます。
オクラのプランター栽培において、「何本植えるか」という問いに対する私の結論は以下の通りです。
記事のまとめ:成功へのロードマップ
- 最適解は密植: 「深型65cmプランター」を使用し、2箇所に5本ずつ、合計10本を育てるのが最も収量が多く、品質も安定します。
- 土の量が命: 標準プランターなら無理せず6本〜8本に。土の容量に合わせて本数を調整しましょう。
- 管理の鍵: 密植する分、水と肥料は多めに。特に真夏は1日2回の水やりと、週1回の液肥が必須です。
- 葉かきを徹底: 収穫したら下葉を切る。これで風通しを確保し、病気を防ぎます。
「オクラは1本立ちにするもの」という固定観念を捨てて、ぜひ一度、この密植栽培にチャレンジしてみてください。
プランターいっぱいに茂るオクラの緑と、次々と実る柔らかい果実が、あなたの夏の食卓を彩ってくれるはずです。
家庭菜園の面白さは、教科書通りにいかないこと、そして自分なりの工夫で結果が変わることにあります。
もし失敗しても、それは来年のための貴重なデータです。
この夏は、欲張りにたくさんのオクラを育てて、ネバネバパワーで暑さを吹き飛ばしましょう!


