発泡スチロール水耕栽培の始め方|自作方法から応用まで完全解説

水耕栽培
※本ページはプロモーションが含まれています

「自宅で手軽に家庭菜園を始めたいけど、専用のキットは高価で場所も取る…」そんな風に感じていませんか。実は、もっと身近なアイテムで簡単に野菜作りを始める方法があります。そこで注目されているのが、水耕栽培に発泡スチロール容器を活用するテクニックです。

この記事では、まず水耕栽培を発泡スチロールで始める基礎知識として、なぜ発泡スチロールが水耕栽培に最適な理由があるのか、そして事前に知っておきたいメリット・デメリットを詳しく解説します。

さらに、必要な道具と材料リストをチェックしながら、具体的な発泡スチロールを使った自作方法・手順、失敗しない穴の開け方と加工のコツまで、分かりやすくご紹介。

多くの方が気になる発泡スチロールの安全性は?という疑問にも、公的機関の見解を交えながらお答えします。

後半では、水耕栽培で発泡スチロールを使いこなす応用編として、初心者におすすめの野菜5選や、栽培が本格化すると必ず直面する、悩まずに済む支柱の立て方、そしてよくあるトラブルQ&Aで解決する方法まで網羅しました。

この記事を最後まで読めば、きっとあなたも「水耕栽培は発泡スチロールで楽しもう」と、気軽に野菜作りをスタートできるはずです。

この記事で分かること
  • 発泡スチロールを使った水耕栽培装置の具体的な作り方がわかる
  • 栽培におけるメリット・デメリットや注意点が理解できる
  • 初心者でも育てやすいおすすめの野菜がわかる
  • 支柱の設置やトラブルへの対処法が学べる

水耕栽培を発泡スチロールで始める基礎知識

saien-Labo

  • 発泡スチロールが水耕栽培に最適な理由
  • 知っておきたいメリット・デメリット
  • 必要な道具と材料リストをチェック
  • 発泡スチロールを使った自作方法・手順
  • 失敗しない穴の開け方と加工のコツ
  • 発泡スチロールの安全性は?

発泡スチロールが水耕栽培に最適な理由

saien-Labo

水耕栽培を始めるにあたり、なぜ多くの人が栽培容器として発泡スチロール製の箱を選ぶのでしょうか。特別な栽培キットに比べて安価であることはもちろんですが、それ以外にも植物の生育にとって非常に有利な、主に3つの優れた特性があるのです。

第一に、抜群の「保温性・断熱性」が挙げられます。

発泡スチロールの原料はポリスチレンというプラスチックですが、製品としてはその体積の約98%が空気で構成されています。この無数の空気層が強力な断熱材となり、外気温の影響を内部に伝えにくくするのです。

これにより、夏場の猛暑による液肥の急激な温度上昇を緩やかにし、根へのダメージを防ぎます。植物の根は30℃を超えると活動が鈍り、生育不良の原因となるため、この効果は非常に重要です。

逆に冬場は、液肥の温度低下を抑え、根を冷えから守る効果が期待できます。植物の根は非常にデリケートなため、この年間を通した温度管理のしやすさが、安定した生育に直結するのです。

第二の理由は、「加工の容易さ」です。

市販されている専用の栽培キットは完成されている反面、カスタマイズの自由度は高くありません。しかし、発泡スチロールはカッターナイフ1本で誰でも簡単に穴を開けたり、切ったりすることができます。

苗を植えるための穴はもちろん、エアレーション(酸素供給)のためのエアーポンプのチューブを通す小さな穴、液肥の量を確認するための覗き窓など、自分の育てたい植物や設置環境に合わせて自由に設計できる手軽さは、DIY初心者にとって大きな魅力と言えるでしょう。

思い通りの装置を自作する楽しみも、発泡スチロール水耕栽培の醍醐味の一つです。

そして第三に、「低コスト」である点も見逃せません。

スーパーマーケットの鮮魚コーナーや青果コーナー、あるいはケーキ店などで、商品輸送用に使われた発泡スチロール箱を無料で提供していることがよくあります。これらの箱は、食品を新鮮に保つために高い保冷性能を持つよう設計されており、水耕栽培の容器としても理想的です。

このように、初期投資をほとんどかけずに栽培容器を手に入れられるため、「まずは試しに始めてみたい」という方でも気軽に水耕栽培にチャレンジすることができます。

発泡スチロールが選ばれる3つのポイント
  • 優れた保温・断熱性: 夏の高温、冬の低温から植物の根を守り、年間を通じて安定した栽培環境を維持しやすい。
  • 簡単な加工性: カッターナイフで自由に穴あけやカットが可能。初心者でもオリジナルの栽培装置を簡単に自作できる。
  • 圧倒的な低コスト: 無料で入手できる機会も多く、家庭菜園を始めるハードルを大きく下げてくれる。

知っておきたいメリット・デメリット

saien-Labo

手軽に始められる発泡スチロールでの水耕栽培ですが、もちろん良い点ばかりではありません。メリットを最大限に活かし、デメリットを正しく理解して対策を講じることが、栽培を成功させるための重要な鍵となります。

前述の通り、保温性や加工性、低コストは他の素材にはない大きなメリットです。それに加えて、「軽量で持ち運びが容易」な点も挙げられます。

液肥を満たすとそれなりの重量になりますが、容器自体は非常に軽いため、季節や天候に応じて日当たりの良い場所へ移動させたり、台風の際に室内に避難させたりするのが比較的簡単です。この機動性の高さは、ベランダなど限られたスペースで栽培する際に特に役立ちます。

また、発泡スチロールは素材自体が光をほとんど通さないため、「遮光性が高い」という利点もあります。液肥に光が当たると、植物の成長に必要な養分を横取りしてしまう「藻」が発生しやすくなりますが、発泡スチロール容器は藻の繁殖を抑制する効果が期待できます。

外側をアルミホイルや遮光テープで覆う対策を加えれば、ほぼ完全に光を遮断することが可能です。

一方で、注意すべきデメリットも存在します。最も大きなものは「耐久性の低さ」です。発泡スチロールは発泡スチロール協会(JEPSA)の解説にもある通り、紫外線に長時間さらされると化学構造が変化し、表面が黄ばんでボロボロになり、もろくなってしまいます。

屋外で1年以上使用していると、少しの衝撃で割れてしまうこともあるため、恒久的な利用には向きません。

また、柔らかい素材であるがゆえに、ナメクジやダンゴムシ、ヨトウムシの幼虫といった虫が壁を食い破り、穴を開けてしまうケースも報告されています。この小さな穴が原因で、大切な液肥がすべて漏れ出してしまうという悲しいトラブルに繋がることもあります。

さらに、その軽さゆえに「強風で飛ばされやすい」という弱点もあります。特に、まだ苗が小さく根が張っていない状態では、容器ごと転倒したり、飛ばされたりする危険性があるため、設置場所や固定方法には十分な注意が必要です。

注意すべきデメリットと対策

発泡スチロールは便利ですが、紫外線による劣化や虫害、風への弱さといった欠点を理解しておくことが重要です。対策として、アルミシートで表面を保護して紫外線劣化を防ぐ、ブロックなどで重しをする、地面に直接置かず棚の上に設置して虫の侵入経路を断つ、などの工夫をしましょう。

項目メリットデメリット
コスト非常に安価(無料で入手できる機会が多い)
加工性カッターナイフで誰でも簡単に加工できる強い力を加えると割れやすく、修復が難しい
機能性保温性・断熱性が高く、液肥の温度変化に強い紫外線で劣化しやすく、長期間の使用には向かない
重量軽量で設置場所の移動が楽強風で飛ばされやすく、固定する工夫が必要
耐久性遮光性が高く、藻の発生を抑制しやすい虫に穴を開けられる可能性があり、水漏れの原因になる

必要な道具と材料リストをチェック

saien-Labo

発泡スチロールで水耕栽培を始めるために、高価で専門的な道具はほとんど必要ありません。多くは100円ショップやホームセンター、園芸店で手軽に揃えることができます。

ここでは、基本的な栽培装置を作るための道具と材料を、「必須アイテム」と「あると便利なアイテム」に分けて詳しくご紹介します。

カテゴリアイテム名説明・選ぶポイント
必須
アイテム
容器発泡スチロール箱スーパーで貰えるもので十分です。野菜の根が伸びるスペースを確保するため、なるべく深さが15cm以上あるものが望ましいです。
苗床水耕栽培用ポット苗を固定するためのネット状のカップです。育てる苗の大きさに合わせて、直径5cm~7cm程度のものを選びましょう。
培地スポンジやハイドロボール種から育てる場合は台所用などの目の細かいスポンジ、苗を固定する際は根を傷つけにくいハイドロボールやバーミキュライトが使われます。
栄養水耕栽培用液体肥料(液肥)水に溶かして使う専用肥料。「ハイポニカ」や「OATハウス肥料」などが有名です。必ず水耕栽培用のものを選んでください。
育てたい野菜の苗や種初心者は病気に強く、育てやすい品種の苗から始めるのが簡単でおすすめです。園芸店で相談してみましょう。
遮光アルミホイルや遮光シート容器を覆い、藻の発生を防ぐために使用します。100円ショップの厚手のアルミホイルや、農業用のシルバーマルチなどが適しています。
工具カッターナイフ、油性ペン蓋に穴を開けるために使用します。安全のため、作業用の手袋があると良いでしょう。
あると
便利
酸素エアーポンプ、エアーストーン観賞魚用の製品で代用可能です。液肥に酸素を送り、根の呼吸を助け根腐れを防ぎます。トマトやナスなどの実物野菜には特に有効です。
水漏れ対策大きめのビニール袋(ゴミ袋など)容器の内側に敷き、万が一の液肥漏れを防ぐための保険になります。厚手のものを選びましょう。
害虫対策防虫ネットアブラムシやコナジラミなどの害虫から野菜を守ります。支柱などを使って容器全体を覆うように設置します。

液体肥料の重要性について

水耕栽培の成否を分ける最も重要な要素が液体肥料です。土を使わない水耕栽培では、植物が生育に必要なすべての栄養素を水に溶けた肥料から吸収します。

そのため、必ず「水耕栽培用」と記載されたものを選びましょう。土耕用の肥料には、土に含まれていることを前提に省略されている微量要素(マンガン、ホウ素など)が含まれていないため、そのままでは栄養不足になってしまいます。

発泡スチロールを使った自作方法・手順

saien-Labo

道具と材料が揃ったら、いよいよ栽培装置の自作に取り掛かりましょう。ここでは、誰でも簡単に作れる、最も基本的なエアレーション(酸素供給)なしの装置の作り方を、4つのステップに分けて詳しく解説します。

Step1:容器の準備と遮光処理

まず、使用する発泡スチロール箱の内外を、食器用の中性洗剤できれいに洗浄し、しっかりと乾燥させます。

次に、箱の外側全体をアルミホイルや遮光シートで隙間なく覆い、布テープや養生テープで固定します。これは太陽光を反射させて夏の液肥の温度上昇を抑えるとともに、光を完全に遮断して藻の発生を防ぐための、最も重要な工程です。蓋の表面も忘れずに覆っておきましょう。

このアルミホイルを巻く作業が少し手間ですが、ここを丁寧に行うことで後の藻の発生や液肥の温度管理が格段に楽になります。まさに成功への第一歩ですよ!

Step2:蓋に定植用の穴を開ける

次に、蓋に苗をセットするための穴を開けます。水耕栽培用ポットを用意し、その縁(フチ)の部分が蓋に引っかかるように、ポット本体の外径と同じか、ほんの少しだけ小さい円を油性ペンで描きます。

円を描く際は、ポットを逆さにして蓋の上に置き、ペンでなぞると簡単です。描いた線に沿って、カッターナイフで慎重にくり抜きましょう。

ポットが軽く抵抗を感じながらも、パチっとはまるくらいのサイズが理想です。複数開ける場合の株間は、育てる野菜が十分に成長したときの葉の広がりを考慮して、最低でも15cm~20cmは空けるようにしましょう。

ポイント:カッターの刃を垂直に入れ、力を入れずにゆっくりと数回に分けて切り進めると、発泡スチロールの粒が飛び散りにくく、断面が綺麗に仕上がります。

Step3:水漏れ対策(任意ですが推奨)

虫害や経年劣化による万が一の水漏れが心配な場合は、この段階で対策を施しておくと安心です。45Lなどの大きめのゴミ袋を発泡スチロール箱の内側にすっぽりと被せ、袋の縁を箱の外側に折り返してテープで数か所固定します。

こうすることで、発泡スチロール本体に穴が開いてしまっても液肥が外に漏れ出すのを防ぐことができます。

特に、ベランダなど階下への水漏れが懸念される場所で設置する場合には、強く推奨される対策です。

Step4:液肥の準備と苗の定植

最後に、苗を植え付けます。まず、箱の中に、水耕栽培用液体肥料を製品のパッケージに記載されている規定の倍率で水に薄めたものを注ぎます。

液肥の量は、セットしたポットの底が2~3cm程度浸かる高さが目安です。次に、買ってきた苗をポットから優しく取り出し、根鉢(根と土が固まった部分)を傷つけないように注意しながら、バケツの水などで根を優しく洗い、古い土をできるだけ丁寧に落とします。

その後、水耕栽培用ポットに苗をセットし、根の周りの隙間を水で湿らせたハイドロボールやバーミキュライトなどで埋めて、苗がぐらつかないように固定します。

準備ができたポットを、蓋に開けた穴にそっとセットすれば、あなただけの水耕栽培装置の完成です!

失敗しない穴の開け方と加工のコツ

saien-Labo

発泡スチロールの加工は簡単ですが、少しのコツを知っておくことで、仕上がりの美しさと装置の機能性を格段に向上させることができます。特に重要な「穴あけ」作業のポイントを詳しく見ていきましょう。

最も手軽なのはカッターナイフを使う方法ですが、焦りは禁物です。一度に深く切ろうとすると、刃がぶれて断面がガタガタになったり、意図しない方向に亀裂が入ってしまったりします。

安全のためにも、カッターの刃を長めに出し、力を入れずにスッと引くように、下書きの線に沿って何度もなぞり、徐々に切り込みを深くしていくのが最大のコツです。

発泡スチロール用のカッター(電熱カッター)があれば、さらにスムーズで綺麗な加工が可能です。

もし、電動ドリルをお持ちであれば、「自在錐」や「サークルカッター」といったアタッチメントを使うと、驚くほど簡単かつ短時間で、完璧な円形の穴を開けることができます。

直径をミリ単位で調整できるため、使用するポットにジャストフィットする穴を開けられます。今後も継続して水耕栽培のDIYを楽しむ予定であれば、投資する価値は十分にあるでしょう。

コンパス代わりに身近なものを活用!

穴を開けるための円を描く際、ちょうど良いサイズのコンパスがなくても心配いりません。ペットボトルのキャップや缶詰、CDやDVDなど、身の回りにある円形のものを定規代わりに使えば、簡単に綺麗な下書きができます。使いたいポットの直径に近いものを探してみましょう。

また、穴を開ける「位置」も装置の強度に関わる重要な要素です。あまり容器の端に寄せすぎると、その部分の強度が著しく落ちてしまい、植物の重みで蓋が割れる原因になります。

縁から最低でも3〜5cm程度は内側に穴を開けるように心がけ、全体のバランスを考えて配置しましょう。

発泡スチロールの安全性は?

saien-Labo

「食品が入っていた箱とはいえ、発泡スチロールから有害な物質が溶け出して、収穫した野菜に影響するのではないか」と心配される方もいるかもしれません。特に、口に入れるものを育てるわけですから、その安全性は気になるところです。

結論から言うと、通常の水耕栽培の環境下で使用する限り、安全性に問題はないと考えられています。

発泡スチロールの主原料であるポリスチレンは、化学的に非常に安定した物質であり、多くの食品容器に使用されています。実際に、プラスチック製品の業界団体であるプラスチック循環利用協会のウェブサイトでも、ポリスチレン製食品容器の安全性が解説されています。

これらの製品は、食品衛生法に基づく厳格な規格基準に適合しており、カップ麺の容器やスーパーの食品トレーなど、私たちの身の回りで広く利用されていることからも、その安全性の高さがうかがえます。

ただし、ポリスチレンは60℃を超えるような高温や、レモンに含まれるリモネンなどの油、一部の有機溶剤(アルコールなど)によって変質したり、ごく微量の化学物質が溶出したりする可能性が指摘されています。

もっとも、通常の水耕栽培で液肥の温度がそこまで高温になることはまずありませんし、油分などを加えることもありません。したがって、常温の水と専用液肥で栽培している限り、健康へのリスクは極めて低いと言えるでしょう。

安全のための使用上の注意点

安全性が高いとされる発泡スチロールですが、念のため熱湯をかけて消毒したり、アルコール系の薬剤で洗浄したりすることは避けてください。容器が変形・劣化する原因となります。洗浄する際は、食器用の中性洗剤と柔らかいスポンジを使用し、優しく洗い流すのがおすすめです。

それでもなお不安が残る方は、前述の通り、容器の内側にビニール袋を敷いて液肥が直接発泡スチロールに触れないようにする対策を講じると、より一層安心して栽培に取り組むことができます。

水耕栽培で発泡スチロールを使いこなす応用編

saien-Labo

  • 初心者におすすめの野菜5選
  • 悩まずに済む支柱の立て方
  • よくあるトラブルQ&Aで解決
  • 水耕栽培は発泡スチロールで楽しもう

初心者におすすめの野菜5選

saien-Labo

発泡スチロールを使った水耕栽培は、様々な野菜を育てることが可能です。しかし、種類によっては栽培の難易度が大きく異なります。

ここでは、特に生育が早く、病害虫にも比較的強いため、初めての方でも失敗しにくく、収穫の喜びを実感しやすいおすすめの野菜を5つ厳選してご紹介します。

野菜名栽培難易度収穫までの目安栽培のワンポイントアドバイス
リーフレタス
(サニーレタスなど)
★☆☆☆☆
(とても易しい)
約1〜1.5ヶ月生育が非常に早く、失敗が少ないため入門に最適です。外側の葉から必要な分だけ収穫すれば、長期間楽しめます。光を好むので日当たりの良い場所で育てましょう。
ミニトマト★★☆☆☆
(易しい)
約2〜3ヶ月収穫の楽しみが大きい人気の野菜です。日当たりと十分な液肥、そして根腐れ防止のための酸素供給(エアレーション)が成功の鍵。実がつき始めたら追肥を忘れずに行います。
バジル★☆☆☆☆
(とても易しい)
約1ヶ月生育旺盛で、摘心(先端の芽を摘むこと)を繰り返すことで、こんもりと茂り収穫量が格段に増えます。料理にも使いやすく、爽やかな香りには虫除け効果も期待できます。
ベビーリーフ★☆☆☆☆
(とても易しい)
約20日〜1ヶ月様々な葉物野菜のミックス種を使い、柔らかい若葉のうちに収穫します。栽培期間が非常に短いため、すぐに成果が見え、達成感を味わいやすいのが魅力です。
水菜(ミズナ)★☆☆☆☆
(とても易しい)
約1ヶ月日本の気候によく合い、暑さ・寒さに比較的強く、育てやすい野菜の代表格です。シャキシャキした食感でサラダや鍋物など、様々な料理に活用できます。

まずはリーフレタスやベビーリーフといった葉物野菜から始めるのが、間違いなくおすすめです!種まきから1ヶ月程度という短期間で収穫できるので、水耕栽培の楽しさと手軽さをすぐに実感できますよ。

悩まずに済む支柱の立て方

saien-Labo

ミニトマトやキュウリ、ナス、ピーマンなど、背が高くなる野菜や実が重くなる野菜を育てる際には「支柱」が不可欠です。

しかし、土のない水耕栽培では、この支柱をどうやって安定して固定するかが、多くの人が直面する悩みの種となりがちです。

ここでは、発泡スチロール容器でも実践できる、スマートで効果的な支柱の立て方をいくつか紹介します。

方法1:容器の外側に独立して設置する(推奨)

最も確実で、発泡スチロール容器に一切の負担をかけない最善の方法です。発泡スチロール箱の両脇に、水を入れたペットボトルを入れたコンクリートブロックや大きめのプランターなどの重しを置きます。
そこに園芸用の支柱を数本、しっかりと深く差し込んで固定します。そして、支柱と野菜の茎を、茎を傷つけない麻ひもや園芸用のビニールタイなどで優しく「8の字」に結びつけて誘引します。
ベランダの手すりや、壁面に設置したワイヤーネットが利用できる場合は、それらを支柱代わりに使うことも非常に有効です。

方法2:大きめのスリット鉢を蓋に組み込む

これは、ある程度大きな苗を定植する際に有効な、少し応用的な方法です。発泡スチロールの蓋に、通常の育苗ポットより一回り大きな「スリット鉢」(5号~6号程度)がぴったりはまる大きさの穴を開けます。
鉢の中に苗を植え、培地(バーミキュライトや軽石など)で固定する際に、一緒に支柱を差し込んで垂直に立てます。
この方法の利点は、鉢自体が重しとなり、風に対する安定感が格段に増すことです。
植物の根は鉢の深いスリットから液肥層へと自由に伸びていくことができます。

支柱設置の基本方針

「容器自体に負荷をかけない」ことが最も重要です。
発泡スチロールの蓋や本体に直接支柱を刺す方法は、一見手軽ですが、植物が大きく成長すると風圧や実の重みで容器が簡単に破損する原因になります。
長期的な安定栽培を目指すなら、できるだけ避けるべき方法です。

よくあるトラブルQ&Aで解決

saien-Labo

手軽に始められる発泡スチロール水耕栽培ですが、ちょっとしたトラブルはつきものです。しかし、原因と対処法を事前に知っておけば、慌てず冷静に対処できます。代表的な3つのトラブルを見ていきましょう。

Q1. 液肥が緑色になって、藻が発生してしまいました…

A1. 遮光を徹底し、容器を洗浄しましょう。

藻は「光」と「栄養」と「水」があると、どこでも繁殖します。液肥に藻が発生したということは、容器のどこかから光が漏れている証拠です。
まずは、アルミホイルの破れや隙間がないか、蓋と本体の間に隙間ができていないかなどを徹底的にチェックし、光が漏れている箇所をテープなどで補修して完全に遮光してください。
発生してしまった藻は、一度液肥をすべて捨て、容器をスポンジで綺麗に洗浄すれば除去できます。植物の根に付着した藻は、根を傷つけないように優しく水で洗い流しましょう。

Q2. 発泡スチロールの底に、虫に開けられたような穴が!

A2. すぐに補修し、設置環境を見直しましょう。

これはヨトウムシの幼虫やナメクジ、ダンゴムシなどの仕業である可能性が高いです。小さな穴であれば、水漏れ防止用の強力な防水テープ(ブチルテープなど)で内外からしっかりと塞げば応急処置が可能です。
ただし、一度狙われると再発しやすいため、可能であれば容器を交換するのが最も確実です。
予防策として、地面に直接置かず、レンガやブロック、すのこなどの上に設置することで、害虫の侵入リスクを大幅に減らすことができます。

Q3. 植えたばかりの苗が、強風でポットごと抜けてしまいます…

A3. 根が張るまでの初期段階では、風対策をしましょう。

定植直後は、根がまだ新しい環境に十分に張っておらず、苗が不安定な状態です。そのため、少しの風で簡単にポットごと抜けてしまうことがあります。
根がポットの下から伸びて液肥の中にしっかりと広がるまでの1~2週間は、風当たりの弱い場所に置くか、容器の周りにブロックなどの重しを置く、あるいはポットの周りを大きめの小石などで軽く固定するといった対策が有効です。
根が育てば、植物自体の重みで安定してきます。

水耕栽培は発泡スチロールで楽しもう

この記事では、発泡スチロールを活用した水耕栽培の始め方から、より栽培を楽しむための応用テクニックまでを網羅的に解説しました。最後に、記事全体の重要なポイントをリスト形式で振り返ります。

記事のまとめ
  • 水耕栽培は身近な発泡スチロール箱を使えば低コストで始められる
  • 発泡スチロールは優れた保温性・断熱性で植物の根に優しい環境を作る
  • 加工が簡単で自分の育てたい野菜に合わせて装置を自由にカスタマイズできる
  • メリットだけでなく紫外線による劣化や虫害、風に弱いといったデメリットも存在する
  • 自作装置の成功の鍵はアルミホイルなどを使った徹底的な遮光による藻の発生防止
  • 必要な道具は発泡スチロール箱や液肥などでその多くは手軽に入手可能
  • カッターでの穴あけは焦らずゆっくり慎重に行うのが綺麗に仕上げるコツ
  • 通常の利用環境であれば発泡スチロールの安全性に問題はないとされている
  • それでも安全面が心配な場合は内側にビニール袋を敷くとさらに安心
  • 初心者はリーフレタスやベビーリーフといった生育が早い葉物野菜から始めるのがおすすめ
  • トマトなどを育てる際の支柱は容器本体に負荷をかけない方法で設置するのが鉄則
  • 藻が発生してしまった場合は遮光を見直し、容器を洗浄することで対処できる