家庭菜園でナスを育てていると、せっかく黄色い可愛い花が咲いたのに、
実にならずにポロポロと落ちてしまうこと、ありませんか?
「毎日水やりしているのに、なんで?」
「もしかして病気?もう枯れちゃうの?」
そんな不安を抱えている方も多いはず。
実は私も、家庭菜園を始めたばかりの頃、毎朝プランターの周りに落ちているナスの花を見てはため息をついていました。
「私の育て方が悪いのかも…」と落ち込みましたし、秋には美味しい秋ナスを食べたいと夢見ていたのに、
このまま終わってしまうのかと焦りました。
でも、安心してください。ナスの花が落ちる現象には、必ず明確な「原因」があります。
多くの場合、それはナスからの「お腹が空いたよ」「喉が渇いたよ」「ちょっと暑すぎるよ」というSOSのサインなんです。
そのサインを正しく読み取り、適切なケアをしてあげれば、ナスは驚くほど元気に復活します。
この記事では、私が実際に試行錯誤してたどり着いた、ナスの花が落ちる原因の特定方法と、
初心者でもすぐに実践できる具体的な復活術を余すところなくお伝えします。
この記事で分かること
- ナスの花の状態(雌しべの長さ)を見るだけでわかる栄養診断法
- 肥料不足、水不足、日照不足など、花が落ちる5大原因の特定
- 魔法のホルモン剤「トマトトーン」の失敗しない正しい使い方
- 弱った株を劇的に若返らせる「更新剪定」と「根切り」の手順
ナスの花が落ちる原因と基本の対処法

ナスの花が落ちてしまう時、株は私たちに何らかの不調を訴えています。
まずはその原因を突き止めることが大切です。
実は、ナスの花をじっくり観察するだけで、今の栄養状態や健康状態が手に取るようにわかるんですよ。
ここでは、花の状態から原因を特定し、基本的な対処法について解説していきます。
雌しべが短い短花柱花は肥料不足のサイン

ナスの花が落ちる原因を探る際、栽培のプロが真っ先に見るポイントがあります。
それは「雌しべの長さ」です。
「えっ、そんな細かいところ?」と思われるかもしれませんが、
ナスの花は、株自身の栄養状態を正直に形として表すという面白い性質を持っているんです。
まず、健康なナスの花を思い浮かべてみてください。
紫色の花弁の中央に、黄色い雄しべ(葯)が集まっていますよね。
そのさらに中心から、一本だけ緑色の棒のようなものが突き出しているのが見えますか?
これが「雌しべ(花柱)」です。
【長花柱花(ちょうかちゅうか):健康な状態】
株に栄養が十分に蓄えられていて元気な時は、この雌しべが、周りの黄色い雄しべよりも長く伸びています。
これを「長花柱花」と呼びます。
この状態であれば、ハチが飛んできたり風で揺れたりした時に、
雄しべから出た花粉が自然と雌しべの先端(柱頭)に付きやすく、高い確率で受粉して実になります。
「今、私は絶好調だよ!」というサインですね。
【短花柱花(たんかちゅうか):危険な状態】
一方で、問題なのが「短花柱花」です。
これは、雌しべの長さが雄しべよりも短く、雄しべの中に埋もれてしまっている状態を指します。
外からパッと見ただけでは雌しべが見えないこともあります。
なぜ短くなるのでしょうか?それは、株に実を育てるだけの体力が残っていないからです。
肥料が足りなかったり、根が弱っていたりして栄養がいきわたらないと、
植物は「これ以上子供(実)を作っても育てられない」と判断し、生殖成長を抑制します。
その結果、雌しべが発育不良のまま開花してしまうのです。
短花柱花は、物理的に受粉しにくいだけでなく、
そもそも実になる力がないため、受粉しなかった花として数日でポロリと落ちてしまいます。
これが「花落ち」の正体であることが非常に多いのです。
栄養診断のポイント
- 長花柱花(合格):雌しべ > 雄しべ。栄養満点。このまま育ててOK。
- 中花柱花(注意):雌しべ = 雄しべ。栄養状態が下り坂。追肥の準備を。
- 短花柱花(危険):雌しべ < 雄しべ。深刻な栄養不足またはストレス。即対処が必要!
まずは、落ちてしまった花や、今咲いている花をじっくり観察してみてください。
もし雌しべが短ければ、それはナスからの「お腹すいた!」という強烈なメッセージです。
このサインを見逃さないことが、花落ち対策の第一歩となります。
肥料過多や不足による栄養ストレスの解消

「短花柱花になっている=肥料不足」と判断して、慌てて肥料をあげる前に、ちょっと待ってください。
実はナスの栄養ストレスには、「不足」だけでなく「過多(あげすぎ)」も存在するんです。
そして厄介なことに、肥料のあげすぎでも花は落ちてしまいます。
ナスは「肥料食い」と呼ばれるほど、野菜の中でもトップクラスに肥料を欲しがる植物です。
だからといって、闇雲に与えればいいというものではありません。
人間と同じで、食べ過ぎればメタボになり、体調を崩してしまいます。
【肥料不足の症状】
これはわかりやすいです。全体的に元気がなく、色が薄くなります。
・葉の色が薄い黄緑色(ライトグリーン)になる。
・葉の大きさが小さくなる。
・茎が細くなる。
・花の色(紫)が薄く、ぼやけた色になる。
この場合は、即効性のある「液体肥料」を規定倍率(500倍〜1000倍)に薄めて、
水やり代わりにたっぷりと与えてください。
固形の肥料よりも早く効き目が出ます。
私が緊急用として常備しているのは、定番ですがハイポネックス原液です。
これ一本あれば、ナスに限らず他の野菜の急な肥料切れにもすぐ対応できるので、
お守り代わりに持っておくと安心ですよ。
【肥料過多の症状】
初心者が陥りやすいのがこちらです。
「大きく育てたい!」という親心が仇となり、肥料を与えすぎてしまうパターンです。
土の中の肥料濃度が高くなりすぎると、根が浸透圧で水分を奪われ、
逆に吸水できなくなってしまいます(肥料焼け)。
こんな症状は「メタボ(肥料過多)」のサイン!
- 葉の色が濃すぎる:黒に近いような深い暗緑色をしている。
- 葉が巻く:葉の縁が内側や外側にクルンと巻いている。
- 帯化(たいか):茎の先端が平べったく変形し、複数の成長点が癒着したようになる。
- 花が奇形:花びらの数が異常に多かったり、形がいびつだったりする。
もし肥料過多のサインが出ていたら、絶対に追肥をしてはいけません。
「肥料をあげる」のではなく「肥料を抜く」作業が必要です。
一番簡単なのは、水を普段よりもたっぷりと与え、鉢底から茶色い水(肥料分)を流し出すことです。
これを数日続けることで、土中の肥料濃度を下げることができます。
また、脇芽をあえて摘まずに伸ばし放題にすることで、余分な栄養を消費させるというテクニックもあります。
ナス栽培において肥料管理は「腹八分目」をキープするのが、花を落とさず長く収穫するコツですよ。
ナスの肥料は詳しく、こちらで解説しています。
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水不足や乾燥が原因の場合の水やり頻度
ナスという植物のルーツをご存知でしょうか?
原産地はインドの熱帯地方と言われています。
高温多湿な環境で生まれたナスは、とにかく水が大好き。
植物体の90%以上は水分でできており、大きな葉っぱからは常に水分が蒸散しています。
そのため、ナスにとって「乾燥」は天敵です。
水が不足すると、株は生命維持を優先するため、水分を多く必要とする「花」や「実」への供給をストップします。
その結果、花柄の付け根に「離層(りそう)」という壁ができ、花がポロリと落ちてしまうのです。
水分不足による落花は、花が咲く前や、咲いた直後に起こりやすいのが特徴です。
特にプランター栽培では、地植えと違って根を張れる範囲が限られており、
土の量も少ないため、夏場は想像以上のスピードで土が乾きます。
「朝に水をあげたから大丈夫」と思っていても、夕方にはカラカラになっていることがよくあります。
夏場の水やり「鉄の掟」

- 頻度:真夏(7月〜8月)は「朝と夕方の1日2回」が基本です。
- 量:プランターの底から水がジャーッと流れ出るまでたっぷりと。ちょろちょろと表面を濡らすだけでは、底にある根まで水が届きません。
- タイミング:昼間の暑い時間帯の水やりは避けましょう。土の中で水がお湯のようになり、根を痛める原因になります。
「でも、仕事があるから毎日朝夕2回の水やりなんて絶対に無理…」という方も多いと思います。
私も以前はそうでした。そんな方に本気でおすすめしたいのが、タカギ(takagi) 自動水やり かんたん水やりタイマーです。
これは蛇口に取り付けるだけで、設定した時間に自動で水を出してくれる優れものです。
少し値は張りますが、これ一台あれば「旅行に行けない」「残業で水やりが遅れてナスが枯れた」という絶望から解放されます。
枯らして苗を買い直す手間を考えれば、十分に元が取れる投資だと私は思います。
また、土の表面を覆う「マルチング」も効果絶大です。
敷きわら、腐葉土、バーク堆肥、あるいは黒色のビニールマルチなどで土を覆うことで、土壌水分の蒸発を防ぐことができます。
また、葉の状態もよく観察してください。昼間に葉がくたっと萎れていて、夕方になると戻る…
という状態を繰り返しているなら、それは慢性的な水不足のサイン。
ナスの実の皮も硬くなり、ツヤがなくなってしまいます。
水やりは「ナスを作ることは水を作ること」と言われるほど重要です。
水切れさせないことが、花落ち防止の特効薬になります。
日照不足と密植を防ぐ整枝と摘葉の効果

肥料も水もバッチリなのに花が落ちる。
そんな時に疑うべきは「光」です。
ナスは「光飽和点」が高く、強い光を浴びれば浴びるほど光合成をして栄養を作り出すことができる植物です。
しかし、日本の梅雨のように長雨や曇天が続くと、どうしても日照時間が不足します。
光合成で作られる炭水化物(糖分)が減ってしまうと、
花を発達させるエネルギーが足りなくなり、落花してしまいます。
天候はどうしようもありませんが、私たちができる対策があります。
それが「整枝(せいし)」と「摘葉(てきよう)」による、株の日当たり改善です。
【密植はNG!風通しを良くしよう】
葉が生い茂りすぎて、株の内側が暗くなっていませんか?
これを「過繁茂(かはんも)」と言います。
葉が重なり合うと、下の葉に光が当たらず光合成ができないばかりか、
風通しが悪くなって湿気がこもり、病気や害虫の温床になります。
【3本仕立てでスッキリと】
ナスの基本的な仕立て方は「3本仕立て」です。
1. 主枝(一番太い幹)
2. 一番花(最初に咲いた花)のすぐ下のわき芽
3. そのもう一つ下のわき芽
この3本を強く伸ばし、それ以外のわき芽は小さいうちに摘み取ってしまいます。
こうすることで、栄養を分散させずに集中させることができます。
【摘葉の勇気を持とう】
そして、さらに重要なのが「摘葉」です。
ナスの葉は、展開してから古くなると光合成能力が落ち、逆に呼吸によってエネルギーを消費する「お荷物」になってしまいます。
目安は「収穫した実より下の葉は全て取る」こと。
ただし、一気に丸坊主にするのではなく、光合成のために1枚程度は残しても構いませんが、
基本的には株元はスカスカで、向こう側が見えるくらいが理想的です。
株元に光が当たるようになると、地温も上がり、根の活性も高まります。
また、後述する害虫の発見もしやすくなります。
「せっかく育った葉を切るのはもったいない」という気持ちをグッとこらえて、
ハサミを入れてみてください。驚くほど花付きが良くなるはずです。
アザミウマなど害虫被害の確認と防除
「雌しべも長いし、水も肥料も管理している。日当たりも良い。それなのに花が落ちる!」
ここまでくると、犯人は目に見えにくい「小さな侵入者」である可能性が高いです。
その代表格が「アザミウマ(スリップス)」です。
アザミウマは体長1〜2mm程度と非常に小さく、肉眼ではゴミのようにしか見えません。
しかし、彼らは花の中に潜り込み、柔らかい組織をストローのような口で突き刺して栄養を吸い取ります。
吸汁された花は、ダメージを受けて茶色く変色し、開花する前や開花直後に落ちてしまいます。
もし実になったとしても、ヘタの周りが茶色く鮫肌状(カサブタ状)になったり、実が曲がったりしてしまいます。
【いますぐできる!アザミウマ確認法】

今咲いているナスの花の下に、白い紙(コピー用紙やスマホの画面でもOK)をかざしてください。
そして、花を上からトントンとデコピンするように指で叩きます。
もし、紙の上に黒や黄色の細長い小さな虫がポトポトと落ちてきて、忙しなく動き回っていたら…
それがアザミウマです。
残念ながら、その株はすでに彼らの住処になっています。
アザミウマ防除の3ステップ
- 1. 物理的防御(キラキラ作戦)
アザミウマやアブラムシは、太陽光の乱反射を嫌う性質があります。
株元に「シルバーマルチ」を敷いたり、アルミホイルを巻きつけたりするだけで、飛来を減らす効果があります。 - 2. 捕獲作戦(ペタペタ作戦)
アザミウマは「青色」や「黄色」に引き寄せられる習性があります。
私はいつもホリバー(ブルー)という粘着シートを株の高さに合わせて吊るしています。
驚くほど捕れますし、薬剤を使いたくない方には特におすすめです。 - 3. 薬剤散布(最終兵器)
被害が甚大な場合は、薬剤の使用を検討します。
花の中に隠れているため、浸透移行性のある「オルトラン」や、有機栽培でも使える「スピノエース」などが効果的です。
使用の際は必ず登録内容を確認してください。
また、乾燥するとハダニも発生しやすくなり、
葉の養分を吸って株を弱らせ、結果的に落花を招きます。
葉の裏をこまめにチェックし、水やりのついでに葉裏にも水をかける「葉水(はみず)」を行うことで、ハダニの増殖を抑えることができます。
ナスの花が落ちる時の具体的対処と復活術
原因がある程度わかったところで、ここからは「今すぐ花を落とさないようにする」ための具体的なテクニックと、
疲れてしまった株を秋まで持たせるための復活術をご紹介します。
プロの農家さんも実践している方法ですが、家庭菜園でも十分に再現可能です。
トマトトーンを使って着果を促進する方法

低温(20℃以下)や高温(35℃以上)、あるいは日照不足が続くと、ナスは花粉が出にくくなったり、受粉能力が落ちたりします。
そんな環境ストレス下で、確実に実をつけさせるための最強の助っ人が「トマトトーン」という植物ホルモン剤です。
トマトトーンの主成分は「オーキシン」という植物ホルモンの一種です。
通常、植物は受粉すると種ができ、その種からオーキシンが分泌されて実(子房)が大きくなります。
トマトトーンを花に散布すると、受粉していなくても「あ、受粉したんだな」と植物が勘違いし、実を太らせ始めます。
これを「単為結果(たんいけっか)」と言います。
「ホルモン剤なんて使って大丈夫?」と心配になるかもしれませんが、
正しく使えば安全で、非常に効果的な資材です。
一本数百円程度で購入でき、ナスだけでなくトマトにも使えるので、家庭菜園には必須のアイテムです。
ただし、使い方を間違えると失敗します。以下のルールを必ず守ってください。
| 項目 | ナスの設定・手順 |
|---|---|
| 希釈倍率 | ナスの場合、基本は50倍に薄めます。(水250mlに対して薬剤5ml) ※トマトは100倍ですが、ナスは濃いめなので注意! |
| 散布のタイミング | 花が咲いた当日、または開花後3日以内。 朝の涼しい時間帯がベストです。 |
| 散布方法 | ハンドスプレー容器に入れ、花房(花)に向けてシュッとひと吹き。 花の中が濡れる程度でOKです。 |
絶対にやってはいけない2つのタブー
- ①二度かけ厳禁!
「しっかり効かせたい」と同じ花に2回も3回もかけると、
薬効が強すぎて実がデコボコに変形したり、空洞になったりします。
かけた花がわかるように、散布したら花びらを一枚ちぎっておくなどの目印をつけると良いでしょう。 - ②成長点にかけない!
これが一番やりがちなミスです。
枝先の新芽(成長点)に薬剤がかかると、ホルモンバランスが崩れて葉が縮れたり、
ウイルス病のような症状が出たりします。
散布する時は、片手で成長点を覆ってガードしながら、花だけにピンポイントでかけるようにしてください。
短花柱花になっていても、トマトトーンを使えば強制的に実をつけることは可能です。
ただし、株自体に体力がなければ、実はついても大きくならなかったり、小さな石ナスになったりします。
トマトトーンはあくまで「着果のスイッチを入れる」ものであり、栄養そのものではありません。
必ず追肥とセットで行うことをおすすめします。
(出典:サントリーフラワーズ よくいただくご質問「ナスの花が落ちる」)
更新剪定で株を若返らせて秋ナスに備える

7月下旬から8月上旬。日本の夏は過酷です。
連日の猛暑と熱帯夜で、ナスも人間と同じように夏バテを起こします。
枝は伸び放題で混み合い、葉は硬くなり、花は咲いてもすぐに落ちる…。
そんな状態で無理に育て続けても、皮が硬くてボケた味のナスしか採れません。
そこで提案したいのが、株をリセットする「更新剪定(こうしんせんてい)」です。
真夏の時期にあえて枝をバッサリと切り戻し、株を休ませることで、
涼しくなる9月頃に再び新しい枝と花を発生させ、美味しい「秋ナス」を収穫するための技術です。
【更新剪定の適期】
地域にもよりますが、7月下旬〜8月上旬がベストです。
遅くてもお盆前には終わらせましょう。
あまり遅くなると、新しい枝が伸びる前に寒くなってしまい、秋ナスが間に合いません。
【切り戻しの手順】
1. 心の準備:せっかく伸びた枝を切るのは勇気がいりますが、「これは手術だ」と割り切ってください。
2. カットする位置:株全体の大きさの、だいたい1/2から1/3の高さまで切り詰めます。
各枝にある元気な葉を1〜2枚残した上で、そのすぐ上の節で切ります。
葉を全く残さないと光合成ができずに枯れるリスクがあるので、必ず少し残すのがコツです。
3. 整枝:細くて弱々しい枝や、内側に向かって伸びている枝は根元から間引きます。
この剪定作業で重要になるのが「ハサミの切れ味」です。
錆びたハサミや切れ味の悪いハサミで無理やり枝を押しつぶすように切ると、切断面の細胞が壊死し、
そこから雑菌が入って株全体が枯れてしまうことがあります。
特に更新剪定のような大手術では、スパッと切れる清潔なハサミを使うことが成功の秘訣です。
私はプロの庭師さんも愛用する岡恒(オカツネ) 剪定鋏を使っています。
少し良いお値段がしますが、驚くほど軽く切れて、
切り口も非常に綺麗なので、植物へのダメージを最小限に抑えられますよ。
剪定直後は寂しい姿になりますが、1ヶ月もすれば驚くほどピカピカの新しい葉が出てきます。
この若返った枝になるナスは、皮が薄くて甘みがあり、最高に美味しいですよ。
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なり疲れを防ぐための早めの収穫と摘果

「もっと大きくしてから収穫しよう」
この欲張りな気持ちが、ナスの寿命を縮めます。
ナスは次々と花を咲かせ実をつけるため、常にエネルギー不足のリスクと隣り合わせです。
実を大きく育てるには膨大なエネルギーが必要で、すでにぶら下がっている実に栄養を吸い取られ、
次に咲く花や、成長しようとしている新芽に栄養が回らなくなります。これが「なり疲れ」です。
なり疲れを防ぐ最もシンプルで効果的な方法は、「若どり」を徹底することです。
スーパーで売っているLサイズのナスを目指してはいけません。
Mサイズ、あるいはSサイズくらいの「ちょっと小さいかな?」と思う段階で収穫してしまいましょう。
若どりのナスは種も少なくて果肉が柔らかく、漬物や炒め物にすると絶品です。
また、株があきらかに弱っている時(短花柱花ばかりの時や、更新剪定の後など)は、心を鬼にして「摘果(てきか)」を行います。
咲いた花や、膨らみかけた小さな実をあえて摘み取り、
「今は実を育てることよりも、自分の体を回復させることに専念してね」と株を休ませてあげるのです。
この「急がば回れ」の精神が、結果的に長く多収穫を実現する秘訣です。
プランター栽培で花が落ちない土作り
プランター栽培は、地植えに比べて圧倒的に「土の量」が少ないです。
これは、根が張れるスペースが狭いだけでなく、肥料や水分を保持できるキャパシティが小さいことを意味します。
そのため、環境の変化をモロに受けやすく、花落ちのリスクも高まります。
花を落とさないためには、土台となる「土作り」が重要です。
目指すべきは「保水性」と「排水性」という、矛盾する2つの性質を兼ね備えた土です。
市販の「野菜用培養土」を使うのが一番手軽で失敗がありませんが、安価な土は時間が経つと固くなりやすいものもあります。
そこで、私は市販の培養土に「完熟腐葉土」や「牛ふん堆肥」を2割ほど混ぜることをおすすめします。
有機物が混ざることで土がフカフカになり(団粒構造)、水持ちが良いのに水はけも良いという理想的な環境が作れます。
もし、これから土を購入するのであれば、少しリッチですがカゴメ そのまま育てるトマトの土(ナスにも最適です)のように、
最初から高品質なヤシ殻繊維などが配合された土を選ぶと、夏の乾燥や根腐れトラブルが激減します。
袋のまま栽培できるタイプも便利ですね。
また、栽培期間が長くなると、水やりの衝撃で土が締まって固くなり、酸素不足になります。
2週間に1回程度、割り箸や小さな熊手を使って、土の表面を軽く耕す「中耕(ちゅうこう)」を行いましょう。
根に酸素を届けることで、肥料の吸収効率もアップし、花への栄養供給がスムーズになります。
根切りと追肥で弱った株を復活させる手順
更新剪定を行う際、ぜひセットで行っていただきたいのが「根切り」という荒療治です。
地上部の枝を切っただけでは片手落ち。地下部の根もリフレッシュさせることで、本当の意味での若返りが完了します。
植物の根は、先端の新しい部分でしか効率よく水や肥料を吸収できません。
春に植えてから数ヶ月経った根は、老化して茶色くなり、吸収力が落ちています。
そこで、古い根をあえて切断し、新しい根の発根を促すのです。
根切りの具体的ステップ

- 位置決め:株元から30cmほど離れた場所(プランターなら縁に沿って)に狙いを定めます。
- 切断:スコップや移植ゴテを垂直にザクッと深く突き刺します。
「バリバリッ」と根が切れる音がしますが、怯んではいけません。これを株の周囲数カ所で行います。 - 追肥と土寄せ:スコップでできた隙間に、即効性のある化成肥料と、新しい培養土を流し込みます。
- 水やり:最後にたっぷりと水を与えます。
根を切ることで、植物は「やばい!根が切れた!急いで再生しなきゃ!」とスイッチが入ります。
切断面からは真っ白な新しい根が勢いよく伸び出し、その新しい根が、直下に施された肥料をぐんぐん吸収します。
この「根切り+追肥」のコンボは、弱りきって花すら咲かなくなったナスを劇的に復活させる起爆剤になります。
更新剪定と合わせ技で行えば、秋には見違えるような元気な株になりますよ。
ナスの花が落ちる悩みを解決する対処のまとめ
ここまで、ナスの花が落ちる原因と対策について詳しく解説してきました。最後に改めて要点を整理しましょう。
ナスの花が落ちる現象は、決して「不治の病」ではありません。
それは株からの「栄養バランスが崩れているよ!」「今の環境は辛いよ!」という健気なメッセージです。
焦って株を引っこ抜いたりせず、まずは花の状態をじっくり観察してみてください。
記事の要点まとめ
- まずは「雌しべの長さ」をチェック。短ければ肥料不足の可能性大!
- 肥料は「メタボ(過多)」でも花が落ちる。葉の色と巻き方を観察しよう。
- 夏場の水やりは「朝夕2回」。マルチングや自動水やり器で乾燥を防ぐのが鉄則。
- 着果しない時は「トマトトーン」を50倍希釈で。ただし二度かけは厳禁。
- 真夏に疲れたら、お盆前に「更新剪定」と「根切り」でリセットし、秋ナスを目指そう。
「ナス 花が落ちる 対処」と検索してこの記事にたどり着いたあなたが、
明日また畑やベランダで、紫色の美しいナスの花がしっかりと実を結ぶ姿を見られることを願っています。
手塩にかけて育てたナス、特に秋ナスのトロトロの食感は格別です。
ぜひ諦めずに、ナスの声に耳を傾けてケアしてあげてくださいね!

