100均のサンスベリアで水耕栽培を始めたいけど、そもそもサンセベリアの水栽培はできるのか?と疑問に思っていませんか。この記事では、100均サンスベリア水耕栽培の始め方と手順を丁寧に解説します。
初心者でも簡単な水耕栽培のやり方から、100均で揃うハイドロカルチャーの道具、そして、あると便利な水耕栽培のおすすめ商品まで紹介するので、すぐにチャレンジできます。
また、失敗しない100均サンスベリア水耕栽培のコツとして、水差しした葉が腐る原因と対策や、なかなか根が出ないときの対処法も詳しく解説。
冬に枯れますか?という越冬のポイントや、増えてきた子株の上手な分け方など、成功に導くためのコツと注意点も網羅しました。
この記事一本で、100均サンスベリア水耕栽培の総まとめとして、あなたの疑問や不安を解消します。
- 100均の苗から始める水耕栽培の具体的な手順
- 根腐れや発根しない等のトラブル対処法
- ハイドロカルチャーへの応用と管理のコツ
- サンスベリアを元気に育てるための注意点
100均サンスベリア水耕栽培の始め方と手順

サンセベリアの水栽培はできますか?

結論から言うと、サンスベリアは水栽培(水耕栽培)で全く問題なく育てることが可能です。
サンスベリアは乾燥した気候に適応した多肉植物として広く知られていますが、その裏には非常に強靭な生命力が秘められており、土のない水だけの環境にも驚くほど柔軟に順応できる性質を持っています。
土を使わずに植物を育てる水栽培は、特に室内での栽培において多くのメリットをもたらします。最大の利点は、土を一切使用しないことによる清潔さです。
土壌由来の病気や不快な害虫が発生するリスクを根本から絶つことができるため、小さなお子様やペットがいるご家庭でも安心してグリーンライフを楽しめます。また、お部屋の床や棚が土で汚れる心配もありません。
さらに、透明なガラス瓶やデザイン性の高いグラスを栽培容器として使用すれば、日々の成長をよりドラマチックに感じることができます。
白く美しい根が水中で少しずつ伸びていく様子を直接観察できるのは、水栽培ならではの醍醐味と言えるでしょう。
見た目も涼やかでおしゃれなため、置くだけでお部屋の雰囲気を格上げするインテリアアイテムとしても活躍します。
サンスベリア水栽培のメリット
- 衛生的:土を使わないため、病害虫の発生リスクが極めて低い。
- 観察の楽しみ:透明な容器を使えば、発根や根の成長過程を日々観察できる。
- シンプルな水管理:水の量が一目でわかり、水やりのタイミングに悩むことが少ない。
- 高いインテリア性:容器を工夫することで、モダンからナチュラルまで様々なテイストに合わせられる。
このように、サンスベリアの水栽培は多くの利点を兼ね備えており、特に観葉植物を手軽かつ清潔に室内で楽しみたいと考える方にとって、最適な育て方の一つです。
初心者でも簡単な水耕栽培のやり方

サンスベリアの水耕栽培は、いくつかの重要なポイントを押さえるだけで、園芸経験が少ない初心者の方でも驚くほど簡単に始めることができます。
ここでは、100円ショップなどで手軽に入手できる苗を使い、失敗なく水耕栽培をスタートさせるための基本的な手順を、さらに詳しく解説します。
準備するもの
まず、主役となるサンスベリアの苗を用意します。100円ショップでは、小さなビニールポットに植えられた状態のものや、土がついていない葉だけの「裸苗」の状態で販売されています。どちらのタイプでも構いません。
その他、根を丁寧に洗うための水道水、そして植物を飾るための器(飲み終えたジュースの空き瓶や、使わなくなったグラスなど、ご家庭にあるもので十分です)を準備してください。
土に植わっている苗から始める場合は、清潔な園芸用のハサミも忘れずに用意しましょう。
水耕栽培への切り替え手順
1. 苗の準備と洗浄
土に植わっている苗の場合、まずポットから優しく引き抜きます。
根鉢(根と土が一体化した部分)を傷つけないように、指で丁寧に土をほぐしていきましょう。
固まっている場合は、無理に引っ張らず、竹串などでつつきながら少しずつ落とします。
ある程度土が落ちたら、洗面器などに溜めた水や、弱い流水で残った土を完全に洗い流します。
このとき、根が折れないように細心の注意を払ってください。
2. 根の整理(剪定)
土での栽培に適応していた根(土根)は、水中での水分や養分の吸収効率が悪く、そのまま水につけると腐敗の原因となることがあります。
そのため、一度リセットするイメージで、古い根や黒ずんで傷んでいる根を清潔なハサミで思い切ってカットします。
健康的でしっかりとした根を2〜3cmほど残すのが、新しい水中根の発根を促すコツです。
裸苗から始める場合は、この根の整理作業は必要ありません。
3. 最重要工程「乾燥」
この工程が、水耕栽培の成否を分ける最も重要なポイントです。
根を整理したり、葉を切ったりした際の切り口は、人間でいうところの「傷口」と同じです。
この傷口が濡れたままだと、水中や空気中の雑菌が侵入し、そこから組織が腐敗してしまいます。
これを防ぐため、直射日光の当たらない、風通しの良い日陰で最低でも2〜3日、できれば4〜5日ほど置いて、切り口を徹底的に乾燥させましょう。
切り口が乾いて白っぽい膜(カルス)が張れば準備完了のサインです。
4. 水に浸ける
いよいよ容器に水を入れ、乾燥させたサンスベリアをセットします。
ここでの注意点は、水の量です。
根や葉の切り口の全体が水に浸かってしまうと、呼吸ができずに再び腐敗の原因となります。
水の量は、根の先端がわずかに浸る程度、目安としては根全体の3分の1から半分くらいが水に触れる高さに調整するのが理想的です。
これにより、根が水中から水分を吸収しつつ、空気中から酸素を取り込むことができます。
「乾燥」の工程は絶対に省略しないこと
少し面倒に感じるかもしれませんが、切り口をしっかりと乾燥させるこの工程は、後の「葉が腐る」「根腐れする」といった致命的な失敗を防ぐための、いわば保険のようなものです。焦らず、じっくりと時間をかけることが成功への一番の近道となります。
以上の丁寧な手順を踏むことで、水耕栽培へのスムーズな移行は完了です。あとは、日々の適切な管理を続けながら、新しい根が力強く伸びてくるのを心待ちにしましょう。
100均で揃うハイドロカルチャーの道具

基本的な水だけの栽培方法に加えて、より本格的で管理がしやすい「ハイドロカルチャー」という育て方にもぜひ挑戦してみてください。
これは、ハイドロボール(粘土を高温で焼いて作られた発泡煉石)やゼオライトといった、土の代わりとなる人工の用土を使って植物を育てる水耕栽培の一種です。
そして何より嬉しいのが、これらの専門的に見える道具の多くが、今や100円ショップで驚くほど手軽に揃えられるという点です。
ハイドロカルチャー栽培の大きなメリットは、用土が植物を物理的にしっかりと固定してくれるため、サンスベリアのような背の高い葉でもグラつくことなく安定して飾れることです。
また、後述する根腐れ防止剤を併用することで、水の浄化作用が働き、衛生的な状態をより長く保つことができます。
最近の100均の園芸コーナーは本当に品揃えが充実していますよね。おしゃれなガラス容器から、使い切りサイズのハイドロボール、さらには根腐れ防止剤まで、ハイドロカルチャーに必要な基本アイテムが一箇所でほとんど揃ってしまうので、思い立ったらすぐに始められますよ。
道具 | 役割と特徴 | 100均での入手可否 |
---|---|---|
ハイドロボール | 植物を支える土の代わりの人工用土。内部に無数の微細な穴があり、通気性と保水性に優れています。使用前に軽く水洗いして微塵を落とすのがポイントです。 | ◯(観葉植物用として少量パックで販売されていることが多いです) |
根腐れ防止剤 | ゼオライトやミリオンA(珪酸塩白土)など。イオン交換作用により水を浄化し、雑菌の繁殖を抑制して根腐れを防ぎます。容器の底に敷いて使います。 | ◯(ゼオライトが一般的によく見られます) |
底に穴のない容器 | 水を溜めておくための器。水の量や根の状態が確認しやすい透明なガラス製が特におすすめですが、陶器やプラスチック製でも問題ありません。 | ◯(デザイン性の高いグラスや瓶、シンプルなプラスチック容器など種類が非常に豊富です) |
ピンセット・割り箸 | 苗を中央に固定したり、隙間にハイドロボールを流し込んだりする際に非常に便利です。細かい作業が格段にしやすくなります。 | ◯(園芸用でなくても、工作用や調理用のもので代用可能です) |
これらの道具を活用すれば、基本的な水だけの栽培から一歩進んで、さらに本格的で見た目にも美しい水耕栽培を存分に楽しむことができます。
なお、ハイドロカルチャーへの植え替えは、まず水栽培で新しい水中根を十分に発根させてから行うと、環境の変化によるストレスが少なく、成功率が格段に高まります。
あると便利な水耕栽培のおすすめ商品

前述の基本的な道具だけでもサンスベリアの水耕栽培は十分に楽しめますが、さらに植物の成長を促進したり、日々の管理を楽にしたりするための便利なサポートアイテムがあります。
これらは園芸店やホームセンター、オンラインショップなどで簡単に入手でき、使うことで栽培の成功率をさらに高めることができます。
発根促進剤
代表的な商品である「メネデール」は、植物に必要な鉄分をイオンの形で供給する植物活力素です。
肥料や農薬とは異なり、植物ホルモンを調整して発根を促す働きがあるとされています。
なかなか根が出ない時や、株分け後で植物が弱っている際に、規定量より少し薄めて水に加えることで、新しい根の発生を力強くサポートしてくれます。
肥料成分を含まないため、どんな状態の植物にも安心して使えるのが大きな特徴です。
液体肥料
水道水だけでは、植物が大きく成長するための栄養分がどうしても不足してしまいます。
より葉を大きく、色鮮やかに育てたい場合は、液体肥料で栄養を補給してあげましょう。
このとき、必ず「水耕栽培用」や「ハイドロカルチャー用」と明記された製品を選ぶことが重要です。
土栽培用の肥料は成分が異なるため、水中で使うと根を傷めたり、藻の発生を招いたりする原因になります。
「ハイポネックス」シリーズなどが有名で、植物の生育が活発になる春から秋にかけて、製品の指示に従い2週間に1回程度の頻度で与えるのが一般的です。
(参照:株式会社ハイポネックスジャパン公式サイト)
肥料の与えすぎは厳禁
「早く大きくしたい」という思いから肥料を濃くしたり、頻繁に与えたりするのは逆効果です。
過剰な栄養は「肥料やけ」と呼ばれる症状を引き起こし、根がダメージを受けて最悪の場合枯れてしまいます。
規定の濃度と頻度を必ず守り、成長が緩やかになる冬場の施肥は完全にストップしましょう。
水位計
ハイドロカルチャーで育てる場合に特に絶大な効果を発揮するのが水位計です。
これは、容器内の水分量を外からでも正確に把握できるようにする便利なツールで、水のやりすぎや水切れといった失敗を劇的に減らすことができます。
特に陶器などの不透明な容器を使う際には、内部の状態が全く見えないため、根腐れ防止の必需品とも言えます。
ハイドロカルチャー初心者の方がつまずきやすい最大のポイントが、この「水の量」なんです。
表面は乾いて見えても、容器の底にはまだ水が残っていることがよくあります。その状態で水を追加してしまうと、根が常に水浸しになり根腐れを起こします。
水位計が一つあるだけで、この管理の難易度が驚くほど下がりますよ。
そもそもサンセベリアの水栽培はできるのか

前述の通り、サンスベリアは水栽培で元気に育てることが可能です。
しかし、「本来、乾燥地帯に自生する植物が、なぜ正反対の水の環境でも生きていけるのか?」という根本的な疑問を持つ方も少なくないでしょう。
ここでは、そのユニークな適応能力の秘密を、サンスベリアの生態的な特徴からさらに深く掘り下げて解説します。
サンスベリアの原産地は、アフリカの熱帯および亜熱帯の、年間を通じて降雨量が少ないサバンナなどの乾燥地帯です。
このような過酷な環境で生き抜くために、サンスベリアは肉厚な葉の内部に水分を効率的に蓄える能力を発達させました。この優れた貯水能力と、多少の環境変化には動じない強靭な生命力こそが、本来の生息環境とは全く異なる水だけの環境にも適応できる最大の理由です。
また、多くの植物を枯らしてしまう最も一般的な原因である「根腐れ」のメカニズムを理解することも重要です。
根腐れは、土の中で常に水分が過剰な状態が続くことで土中の酸素が欠乏し、根が文字通り「窒息」してしまうことで発生します。
しかし、水栽培の場合は、こまめに水を交換することで、水中に新たな酸素を常に供給し、同時に雑菌の繁殖を抑制することができます。
つまり、適切な管理を怠らなければ、土で育てる以上に根腐れのリスクを能動的にコントロールしやすい環境だと言えるのです。
NASAも認めた空気清浄効果
サンスベリアは、1980年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)が行った調査で、室内の有害物質を除去する能力が高い「エコプラント」として評価されたことでも知られています。
シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドや、その他キシレン、トリクロロエチレンなどを吸収・分解する働きがあると報告されており、見た目の美しさだけでなく、お部屋の空気をきれいにしてくれる嬉しい効果も期待できるのです。
(参照:NASA Technical Reports Server “Interior Landscape Plants for Indoor Air Pollution Abatement”)
これらの理由から、サンスベリアはそのタフな性質を最大限に活かし、水栽培という一見すると特殊な育て方でも、力強く成長することができるのです。
失敗しない100均サンスベリア水耕栽培のコツ

水差しした葉が腐る原因と対策

水耕栽培、特に葉挿し(水差し)で挑戦する際に最も多くの方が経験する失敗が、水に挿した葉の切り口がブヨブヨと柔らかくなり、やがて溶けるように腐ってしまうことです。
この残念な結果は、主に「切り口の処理不足」「水の管理」「置き場所の環境」という3つの複合的な要因によって引き起こされます。
しかし、それぞれの原因を正しく理解し、適切な対策を講じれば、この失敗は確実に避けることができます。
最も直接的な原因は、切ったばかりの瑞々しい葉をすぐに水につけてしまうことです。
植物の切り口は、雑菌にとって格好の侵入口となります。ここから水中に存在する微細な菌が侵入し、植物の内部組織を破壊することで腐敗が進行します。
また、水の交換を怠ると、水中で雑菌が爆発的に繁殖し、腐敗のリスクをさらに高めてしまいます。
主な原因 | 具体的な対策 |
---|---|
① 切り口が乾燥していない | 葉を切った後、焦らずに風通しの良い日陰で2日から、長ければ1週間ほどじっくりと放置し、切り口を完全に乾燥させます。切り口表面に「カルス」と呼ばれる、かさぶたのような保護組織が形成されることで、雑菌の侵入を物理的にブロックします。 |
② 水の汚れ・雑菌の繁殖 | 特に気温が高い夏場は、水が傷みやすいため毎日新しい水道水に交換するのが理想です。その他の季節でも、最低でも2〜3日に1回は交換しましょう。水が少しでも濁ったり、ぬめりを感じたら、それは雑菌が繁殖しているサインです。すぐに水を替え、容器の内側もスポンジなどで丁寧に洗い流してください。 |
③ 水温の異常な上昇 | 夏の直射日光が当たる窓辺などに置くと、ガラス容器内の水温は簡単に40℃を超えてしまいます。これでは葉が茹で上がった状態になり、一気に腐敗が進みます。必ず直射日光を避け、レースカーテン越しなどの明るい日陰で管理してください。 |
もし、すでに腐敗が始まってしまった場合でも、諦めるのはまだ早いです。
すぐに水から取り出し、腐って柔らかくなった部分を、少し多めに健康な部分まで含めて清潔なハサミで切り落とします。
その後、これまで説明した手順通り、再び切り口を数日間かけて徹底的に乾燥させてから、清潔な水を入れた容器で再挑戦してみてください。生命力の強いサンスベリアなら、十分に復活する可能性があります。
なかなか根が出ないときの対処法

水耕栽培を始めて、毎日ワクワクしながら容器を覗き込んでいるのに、1ヶ月以上経っても全く根が出てくる気配がないと、だんだん心配になってきますよね。
サンスベリアがなかなか発根しない場合、その原因は株自体の問題というよりも、「時期」「温度」「光」という3つの基本的な環境条件が、植物のやる気スイッチを押せていない可能性が非常に高いです。
最も重要な「時期」と「温度」の確認
サンスベリアの成長サイクルには、活発に活動する「生育期」と、エネルギーを温存する「休眠期」があります。
発根という、植物にとって非常にエネルギーを要する活動は、当然ながら生育期に行われます。サンスベリアの生育期は、気候が温暖で安定している春から初夏(具体的には5月下旬〜8月下旬頃)です。この時期に水耕栽培を始めるのが、最もスムーズな発根を促す最大の秘訣です。
逆に、気温が15℃を下回り始める秋から冬にかけては、サンスベリアは休眠期に入ります。この時期に水耕栽培を始めても、植物は活動モードになっていないため、発根することはほとんど期待できません。
また、水温も重要な要素です。特に冬場の冷たい水道水は、サンスベリアにとって大きなストレスとなります。常に15℃〜25℃程度の常温の水を使うように心がけましょう。
休眠期の水耕栽培スタートは絶対に避けよう
秋から冬にかけて水耕栽培を始めてしまうと、発根しないばかりか、株が持っている体力を無駄に消耗させてしまいます。
最悪の場合、春の生育期を待たずにそのまま枯れてしまうこともあるため、水耕栽培を始めるのに適した時期までじっくりと待つのが賢明な判断です。
置き場所、つまり「光の条件」の見直し
サンスベリアは比較的日陰に強い耐陰性を持つ植物ですが、発根のためには光合成によってエネルギーを作り出す必要があります。
そのため、全く光の当たらない暗い場所に置いていては、いつまで経っても発根しません。明るい日陰、またはレースカーテン越しのような柔らかな光が長時間当たる場所に置いてあげましょう。
ただし、前述の通り、強すぎる直射日光は葉焼けや水温上昇の原因となり逆効果なので注意が必要です。
これらの環境条件を全て整えても、なお発根の兆しが見られない場合は、最終手段として市販の発根促進剤(メネデールなど)を試してみるのも一つの有効な手です。
焦らず、サンスベリアが「成長したい!」と思えるような快適な環境をじっくりと整えてあげることが、美しい根を迎え入れるための一番の近道と言えるでしょう。
冬に枯れますか?越冬のポイント

熱帯アフリカの乾燥地帯を故郷とするサンスベリアにとって、日本の冬の寒さは非常に厳しいものです。そのため、「水耕栽培のサンスベリアが冬を越せずに枯れてしまうのではないか」という心配は、多くの方が抱く切実な問題です。
結論から言えば、いくつかの重要なポイントを確実に守れば、水耕栽培でも冬越しは十分に可能ですが、土で育てる場合よりも一層の注意が必要になります。
サンスベリアが耐えられる限界の温度(耐寒温度)は、品種によって多少の差はありますが、一般的には5℃〜10℃程度が目安とされています。
これを下回る環境に長時間置かれると、細胞が凍結し、枯死してしまいます。特に水耕栽培の場合、根が直接水に浸かっているため、室温の低下がダイレクトに水温の低下に繋がり、鉢植えで土に守られている状態よりも寒さの影響を格段に受けやすくなります。
サンスベリア水耕栽培の鉄則!越冬3つのポイント
- ① 置き場所を徹底管理する:最も重要なのが温度管理です。
夜間から早朝にかけて、室温が5℃以下になる可能性のある場所は絶対に避けてください。
日中は日当たりの良い窓際に置いても、夜間は窓からの冷気で急激に冷え込みます。夜になったら部屋の中央や、暖房の風が直接当たらない、比較的暖かい場所に移動させる習慣をつけましょう。 - ② 水の管理を冬モードに切り替える:冬のサンスベリアは休眠期に入り、ほとんど成長を停止するため、水の吸収量も激減します。
水の量は、根の先端がギリギリ触れるか触れないか程度まで減らしてください。
水の交換頻度も、夏場のように頻繁に行う必要はなく、1〜2週間に1回程度で十分です。
ただし、交換する際は冷たい水道水をそのまま使わず、少し時間を置いて常温に戻した水を使用しましょう。 - ③ 肥料は完全にストップする:休眠中の施肥は「冬眠中の人に無理やり食事をさせる」ようなものです。
根が栄養を吸収できないため、水中に余分な養分が溜まり、かえって根を傷める原因になります。
秋の終わりから春に暖かくなるまで、肥料は絶対に与えないでください。
また、暖房の効いた部屋は空気が乾燥しがちですが、元々乾燥に強いサンスベリアにとって、これは大きな問題にはなりません。
むしろ、良かれと思って霧吹きなどで葉に水をかける「葉水」は、低温下では葉が蒸れて腐る原因になることがあるため、基本的には不要です。
葉のほこりが気になる場合は、固く絞った柔らかい布で優しく拭き取ってあげる程度に留めましょう。
増えてきた子株の上手な分け方

サンスベリアを愛情込めて元気に育てていると、ある日、親株の根元からひょっこりと新しい芽、つまり「子株」が顔を出すことがあります。
これは、サンスベリアが現在の環境に満足し、元気に成長している何よりの証拠です。そして、この子株は「株分け」という方法で、親株から独立させて新しい株として育てることができ、お気に入りのサンスベリアを増やす絶好の機会となります。
株分けを行うのに最も適した時期は、植物の成長が最も活発になる生育期の真っ只中、具体的には5月下旬から8月頃です。この時期に行うことで、切り離された親株と子株、双方のダメージからの回復が非常にスムーズに進みます。
失敗しない株分けの具体的な手順
1. 親株を容器から取り出す:まず、作業がしやすいようにサンスベリアを容器から丁寧に取り出します。このとき、根を傷つけないように優しく扱いましょう。
2. 子株の連結部分を確認し、切り離す:親株と子株が、地下で太い茎(地下茎)で繋がっているのを確認します。どこで繋がっているかを確認したら、清潔で切れ味の良いハサミやナイフを使い、思い切って切り離します。このとき、子株側にも新しい根がいくつか付いている状態で切り分けるのが、その後の成長を安定させるための重要なポイントです。
3. 切り口をしっかりと乾燥させる:株分けも、植物に傷口を作る作業です。これまでの手順と同様に、切り離した親株と子株、両方の切り口を直射日光の当たらない風通しの良い場所で数日間、じっくりと乾燥させます。
4. 新しい容器で再スタート:切り口が完全に乾いたら、親株と子株をそれぞれ別の容器に入れ、再び水耕栽培を再開します。
美しい斑入り品種は「株分け」でしか増やせない!
サンスベリア・ローレンティー(通称:トラノオ)に代表されるような、葉の縁に黄色などの美しい模様(斑)が入る品種には、一つ重要な特性があります。
それは、葉挿し(水差し)で増やすと、残念ながらその特徴である斑が消えてしまい、緑一色の葉になってしまうという性質です。
そのため、親株と同じ美しい斑を保ったまま増やしたい場合は、この株分けが唯一の方法となります。
子株が親株の3分の1から半分程度の大きさにまでしっかりと育ったら、ぜひ株分けに挑戦して、お気に入りのサンスベリを増やし、ご友人へのプレゼントなどに活用してみてはいかがでしょうか。
成功に導くためのコツと注意点

これまで、サンスベリアの水耕栽培を始めるための基本的な手順から、様々なトラブルへの対処法までを詳しく解説してきました。
最後に、これまでの内容を補足し、日々の管理の中で少しだけ意識することで、栽培の成功率をさらに高めるための、より細かいコツと注意点をご紹介します。
日々のちょっとした心がけが、サンスベリアをより一層元気に、そして美しく育てる秘訣です。
根の健康を守る「水の量」と「交換頻度」
繰り返しになりますが、水の量は非常に重要です。
常に根が全体的に水没してしまわないように、水位を低めに保つことを徹底してください。植物の根も、私たちと同じように呼吸をしています。
少なくとも根元から3cm程度、理想を言えば根の上半分が常に空気に触れている状態を保つことで、根が水中から水分を、空気中から酸素を効率的に取り込むことができ、根腐れのリスクを劇的に減らすことができます。
水の交換は、雑菌の繁殖を防ぎ、新鮮な酸素を供給するために、夏場は可能であれば毎日、それ以外の季節でも最低週に1〜2回を目安に必ず行い、常に水を清潔な状態に保ちましょう。
意外と見落としがちですが、水替えの際には容器の内側もぜひチェックしてみてください。指で触るとぬるっとした感触がありませんか?
これは「バイオフィルム」と呼ばれる雑菌の膜で、植物の健康に良くありません。水替えのタイミングで、スポンジなどを使って容器の内側をきれいに洗い流す習慣をつけるだけで、病気の予防に繋がりますよ。
成長をサポートする「肥料の与え方」
液体肥料はサンスベリアの成長を力強くサポートしますが、その与え方は慎重に行う必要があります。
まず大前提として、肥料を与えるのは生育期である春から秋の間だけです。そして、製品に記載されている規定量よりも、さらに倍くらいに薄めて与えるのが、根を傷めずに安全に栄養を補給するコツです。
特に水耕栽培を始めたばかりで、まだ新しい水中根が十分に張っていない株には、肥料は絶対に与えないでください。
まずは株が新しい環境に適応し、自力で発根することに集中させることが最優先です。
健康維持のための「置き場所ローテーション」
サンスベリアは日陰にも強い耐陰性を持つため、室内の様々な場所に置けるのが魅力ですが、本来は日光が大好きな植物です。
もし、玄関や洗面所など、日当たりのあまり良くない場所に置いている場合は、週末だけリビングの明るい場所に移動させるなど、定期的に置き場所をローテーションさせてあげることを強くおすすめします。
これにより、植物は十分に光合成を行ってエネルギーを蓄えることができ、病気に対する抵抗力も高まります。
最近では、安価で高性能な植物育成用のLEDライトも市販されているので、日当たりが確保できない環境では、そういったアイテムを活用するのも非常に効果的です。
100均サンスベリア水耕栽培の総まとめ
この記事では、100円ショップで手軽に手に入るサンスベリアを使い、水耕栽培で元気に育てるための始め方から、失敗しないための管理のコツ、さらには増やし方までを網羅的に解説しました。最後に、この記事でご紹介した重要なポイントをリスト形式でまとめます。
- サンスベリアはその強靭な生命力により水耕栽培で育てられる
- 100均で販売されている苗からでも気軽に水耕栽培は始められる
- 水耕栽培を始めるのに最適な時期は生育が活発になる5月から8月頃
- 土から水栽培に切り替える際は根を丁寧に洗い2〜3日以上乾燥させる
- 葉挿しの場合も葉の切り口をしっかり乾かすことが腐敗を防ぐ最大のポイント
- 根元の一部を常に空気に触れさせることが根腐れ防止に繋がる
- 水の交換はこまめに行い同時に容器もきれいに洗浄する
- なかなか根が出ない場合は時期や温度、光の条件を見直すことが重要
- ハイドロカルチャーにすれば植物が安定しインテリア性も向上する
- 100均ではハイドロカルチャーに必要な基本道具が一通り揃えられる
- 冬越しは気温が5℃以下にならない室内で水を極力控えめにして管理する
- 元気に育てば子株が出てくるので株分けで増やすことができる
- 葉に模様がある斑入り品種は株分けでないとその美しい斑が維持できない
- より大きく育てたい場合は生育期に薄めに希釈した液体肥料を与える